「図形だけ極端にできない」小学生へ|中学受験算数の図形克服のポイント3つ
中学入試で避けて通れない「図形問題」
中学入試の算数では、「図形問題」は必ず出題される分野です。平面図形・立体図形・図形の移動・角度・面積・体積など、様々な形式で出題されるため、図形が苦手なままでは合格点に届きにくくなってしまいます。
一方で、実際の指導現場では、図形問題に苦手意識を持つ小学生を多く見かけます。
なぜ図形が難しく感じるのか。その原因を整理し、正しい対策を行うことで、図形は必ず「得点源」に変えていくことができます。
図形問題を不得意に感じる小学生の3つの特徴
特徴1:図形をノートに写さない
図形問題を解くときに、問題用紙にある図だけを眺めて、すぐに式を立てようとしていませんか?
図形をノートに写す作業には、次のような大切な意味があります。
- どのような図形なのかを、目と手を通して立体的に捉え直せる
- 何を求めるべきなのかを意識しながら図を整理できる
- 補助線を引いたり、展開図を書いたりしながら、新しい見方・解き方を発見できる
特に、円の問題や図形の移動などでは、自分の手で図を書き出したり、展開図を正しく描くことが非常に重要です。角度が分かる箇所があれば、その都度書き込んでいきましょう。
また、複雑に見える図形でも、必要な部分だけを抜き出すと、実はとてもシンプルな図形に分解できることがあります。
図を写さずに式だけで処理しようとすると、こうした「気づき」が生まれにくくなり、いつまでも図形が難しく感じられてしまいます。
問題を早く正確に解けるようになるためにも、「図形をノートに写す→何を問われているかを整理する→解きやすい図に描き直す」という流れを習慣化することが大切です。
特徴2:必要な数値を「きれいに」書き込めない
中学入試の図形問題では、
- 問題文の数値がすべて図に書き込まれている場合
- 一部だけ図に書かれていて、残りは自分で書き込む必要がある場合
など、さまざまなパターンがあります。
問題文を読みながら、すでに分かっている数値や、解いていく途中で新たに分かった数値を、図に整理して書き入れることで、図形の状況を正確に把握できるようになります。
しかし、計算過程として出した数値が合っていても、図に雑に書き込んでしまうと、図形を正しく理解できません。
線と数値の位置関係が分かりにくかったり、どの長さを示す数値なのか曖昧になったりすると、
- 計算結果が合っているか不安になる
- 計算ミスが起きていても気づけない
といった状況を招いてしまいます。
確認作業をスムーズに行うためにも、「必要な数値を、誰が見てもわかるように、きれいに書き込む」ことを強く意識しましょう。
これは入試本番に限らず、日々の家庭学習や塾のテキスト演習の段階から身につけておくべき大切な習慣です。
特徴3:定理や用語を理解できていない
中学入試の算数において、図形分野で頻出となる定理や公式を暗記することは必要不可欠です。たとえば、
- 平行線と角、円周角の定理
- 三角形・四角形の内角の和
- 台形の面積公式、柱や錐の体積公式
などです。
しかし、「言葉としては覚えているが、それが何を表しているのかが分かっていない」という状態だと、問題を前にしたときに、
- どの定理・公式を使えばよいのか見当がつかない
- 用語の意味が曖昧で、問題文自体が理解できない
という状況に陥ってしまいます。
例えば、図形問題に出てくる用語──平行・上底・下底・母線などは、自分の言葉で説明できて初めて「分かっている」と言えます。
曖昧なままにせず、図と結びつけながらきちんと覚えておくことが大切です。
定理や公式、用語を「暗記し、意味まで理解する」ことができれば、問題に対して適切なアプローチができるようになります。
逆に、定理や公式の理解が曖昧なままだと、どの公式を用いるべきか正しい判断ができず、手が止まってしまう原因になります。
図形問題に対して正しい定理や公式を選択できるようになるには、毎日コツコツと図形問題を解く習慣が不可欠です。問題数をこなしていくうちに、「この形ならこの定理」「この状況ならこの公式」と自然に結びつくようになっていきます。
図形問題を得意にするための学習のコツ
ここまで紹介した「3つの特徴」を裏返せば、そのまま図形問題を得意にするためのポイントになります。
- 必ず図をノートに写し、自分の手で補助線や展開図を書いて考える
- 分かった数値や条件を、図にきれいに整理して書き込む
- 定理・公式・用語を暗記し、図と結びつけて意味まで理解する
- 毎日少しずつでも図形問題に触れ、「図形に慣れる時間」を確保する
また、立体図形が特に苦手な場合は、次のページもあわせてご覧ください。
当塾の取り組み──図形問題が苦手な生徒へのアプローチ
当塾では、完全1対1の個別指導で、算数の図形問題が苦手な生徒さんに対して一人ひとりに合わせたアプローチを行っています。
- 完全オーダーメイドの授業で、自分では気づきにくい弱点を丁寧に洗い出す
- 苦手な図形のパターンに絞って、類似問題を繰り返し演習し、「分かる」から「できる」状態へ定着させる
- 図や補助線の引き方、数値の書き込み方など、答案の書き方レベルから指導する
当塾の授業は、夏井算数塾・個別指導はココが違う!にある通り、効率的な授業と復習が両立できるシステムとなっています。
また、当塾の講座はオンラインでも受講可能です。
中学受験算数の成績を「オンライン個別指導」で伸ばすことができる3つの理由でも紹介しているように、
- 勉強し慣れた自宅環境で、より集中して学習できる
- 通塾時間がゼロになり、その分を学習時間や休息に充てられる
- 体力の消耗を抑えつつ、継続して学習を続けられる
といったオンラインならではのメリットを活かしながら、図形問題の克服をサポートしています。
まとめ──図形問題は「苦手意識」から「得意分野」へ変えられる
中学入試に出てくる「図形問題」を不得意に感じる小学生には、主に次の3つの特徴があります。
- 図形をノートに写さず、式だけで解こうとしてしまう
- 必要な数値を、図にきれいに書き込めない
- 定理や用語を暗記していても、その意味や使い方を理解できていない
これらを裏返すと、そのまま図形問題を得意にするための具体的な行動になります。
- 必ず図を自分の手で描き、補助線や展開図を使って考える
- 分かった数値を整理して書き込み、図から状況を読み取る力をつける
- 定理・公式・用語を、図と結びつけて理解し、問題の中で使いこなす
- 毎日少しでも図形問題に触れ、「図形に慣れる時間」を確保する
図形問題は、決して「センス」だけで解く分野ではありません。
正しい学び方と十分なトレーニングを積めば、誰でも必ず得意分野に変えていくことができます。
「図形問題は苦手だ」と思い込まず、まずは毎日1問でも図形問題に触れることから始めてみてください。
少しずつ視点が増え、「あ、こう考えればいいんだ」と感じられる瞬間が、確実に増えていきます。


