510-09 中学受験算数の旅人算を図で攻略──ダイヤグラムで速さ・時間・距離を一発理解
サピックス5年生のための「3人の旅人算・速さの和差算・ダイヤグラム」基礎整理
2人の旅人算まではなんとかなるけれど、3人になった途端に頭がこんがらがる…。
速さの和差算やダイヤグラムが出てきたときに、「そもそも何を求める問題なのか」が分からなくなる…。
こうしたつまずきは、サピックス5年生の速さ分野ではよく見られます。
このページでは、動画とあわせて、3人の旅人算の考え方、速さの和差算の見抜き方、ダイヤグラムの読み方・使い方を整理しました。
「図をかく」「和と差に注目する」「一定時間で進む距離を見る」という3つの視点を身につけることで、応用問題にも対応できる力を育てていきましょう。
動画講義:3人の旅人算・速さの和差算・ダイヤグラム
この動画は、サピックスに通塾している小学5年生で、算数が苦手な生徒さん向けに「授業に入る前に見ておいてほしいポイント」をまとめた内容です。
重要な部分だけを絞ったコンパクトな講義となっていますので、基本事項の復習にご活用いただければ幸いです。
※本動画は、サピックスで使用されているテキストそのものの解説ではありません。あらかじめご了承ください。
1.3人の旅人算の基本
2人の旅人算に慣れてきたら、サピックスでは3人が動くパターンも多く出題されます。
いきなり式から考えようとすると混乱しやすいため、まずは線分図で状況を整理することが大切です。
まずは線分図をかいてスタート
3人の旅人算では、次のような流れで考えましょう。
- 出発地点(町A・町Bなど)と道の全体の長さを線分で表す
- それぞれの人(Aさん・Bさん・Cさんなど)の位置と進む向きを書き込む
- 時間が経つごとに、どのくらい進むのかを線分上でイメージする
文章だけで考えるのではなく、線分図を必ずかくことが、3人の旅人算を整理する第一歩です。
同時に出発する場合の「時間の印」の付け方
元記事では、
「同時に出発する場合、同じ時間には同じ記号を書いて図を分かりやすく整理しましょう。」
と説明されています。これは、同じ時刻の動きを図の上で見える化するためのテクニックです。
- 0分後・10分後・20分後…といった同じ時間の位置に、○△□など同じ記号をつける
- 「この印がついている位置は、同じ瞬間の3人の位置」という目印になる
これにより、
- 誰と誰が出会うのか
- 誰がどこまで進んだときに、別の人がどこにいるのか
といった関係を、線分図の上で一目で確認できるようになります。
3人の旅人算で意識したいポイント
- 「2人ずつの関係」に分けて考える(例:AとB、BとCなど)
- 出会いなら距離の和、追いつきなら距離の差という基本は変わらない
- 「誰と誰の関係で式を立てるか」を決めてから計算する
3人でも、基本は2人の旅人算の考え方の組み合わせです。線分図と時間の印を活用して、順番に整理していきましょう。
2.速さの和差算:問題の「型」を見抜く
次に、速さに関する文章題の中でも、「速さの和」や「速さの差」が直接関わってくるタイプ=速さの和差算について整理します。
速さの和差算とは?
元記事では、
「かいてある条件から速さの和と速さの差が出る文章題のことを速さの和差算といいます。」
と説明されています。つまり、
- 2人(2台)の速さの合計(和)が分かる条件
- 2人の速さの差が分かる条件
が問題文の中に書かれていて、それを使ってそれぞれの速さを求めるタイプの問題が「速さの和差算」です。
「和」と「差」を見抜くポイント
問題文を読んだときに、
- 「2人が同じ向きに進んで、何分後かに○km離れた」→ 速さの差に関する条件になりやすい
- 「2人が向かい合って進み、何分後かに出会った」→ 速さの和に関する条件になりやすい
といった形で、どこが「和」や「差」の情報になっているかを見抜くことが大切です。
元記事のポイントは、
「問題を見た時に、和と差を求める問題だということに気付けるようにしましょう。」
という点です。
条件を読みながら、
- これは「2人まとめた速さ(和)」の情報か?
- これは「2人の速さの違い(差)」の情報か?
と自分に問いかける習慣をつけておくと、和差算の型を見抜きやすくなります。
速さの和差算での基本的な解き方
典型的な流れは次の通りです。
- 問題文から速さの和に関する式と速さの差に関する式を読み取る
- 2つの式をセットとして考え、和差算(たし算・ひき算)でそれぞれの速さを求める
- 求めた速さを使って、距離や時間などの最終的な問いに答える
「和差算」という名前の通り、和と差の2つの式から、2つの数量を求めるという構造は、数の和差算や年齢算と同じです。
そこに「速さ」という要素が加わったと考えると整理しやすくなります。
3.ダイヤグラムの読み方と考え方
最後に、電車や人の動きをグラフの形で表した「ダイヤグラム」について整理します。
速さの文章題が時間-距離のグラフに変わっただけなので、基本となる視点は同じです。
ダイヤグラムとは?
ダイヤグラムは、縦軸と横軸を使って
- 横軸:時間(分・時刻など)
- 縦軸:距離(km・mなど)や位置
を表し、動くものの位置の変化を線で表した図です。
電車のダイヤ(時刻表)などにも使われる表現で、サピックスでも速さの応用としてよく登場します。
ダイヤグラムで注目するべき点
元記事では、ダイヤグラムの問題を考えるときのポイントとして、
「何分間で何m進むのかということにしっかりと注目していきましょう。」
と説明されています。
- グラフの線がどれくらいの時間でどれだけ上がっているか → その区間の速さ
- 線が交わる点 → 2人(2台)が同じ位置にいる時刻(=出会いなど)
- 線の傾きが急 → 速い、なだらか → 遅い
このように、
- 「時間の変化」:横にどれだけ進んでいるか
- 「距離の変化」:縦にどれだけ上がっているか
から、
速さ = 距離 ÷ 時間
をグラフの上で読み取るイメージです。
ダイヤグラムを使いこなすためのコツ
- 1区間ごとに「何分で何m進んでいるか」を必ず確認する
- 交点(線が交わる点)の時間・距離を読み取り、「何が起きた瞬間か」を考える
- グラフを速さの文章題に言い換えるイメージで解釈する
「グラフが苦手」と感じる場合は、一度グラフから文章を自分で復元してみる練習をすると理解が深まります。
4.サピックス5年生の学習への活かし方
3人の旅人算・速さの和差算・ダイヤグラムは、どれも速さの基本のうえに成り立つ応用です。算数が苦手なサピックス5年生には、次のような流れで学習することをおすすめします。
- まずは速さの3公式と、2人の旅人算(出会い・追いつき)をしっかり復習する
- 動画を見ながら、線分図の描き方や同じ時間の印の付け方を真似する
- 速さの和差算では、「これは和の情報」「これは差の情報」と問題文に印をつける練習をする
- ダイヤグラムでは、「何分で何m」を読み取り、速さの計算に言い換える練習をくり返す
いずれの分野も、図・グラフ・式をリンクさせて考える練習が重要です。
「暗算だけで何とかしよう」とせず、必ず図やグラフに手を動かして書き込む習慣をつけることで、問題の構造が見えやすくなります。
当塾でのSapix対策
サピックス算数の特徴と当塾の方針
サピックスの速さ分野は、読み取り力・図解力・計算力が同時に試される問題が多く、独学だけでは理解しにくいテーマも少なくありません。
特に、3人の旅人算・速さの和差算・ダイヤグラムは、一度つまずくとその後の単元にも影響しやすい重要分野です。
当塾では、
- サピックスのカリキュラムにそって、つまずきやすい速さの単元を事前にフォロー
- 線分図・表・ダイヤグラムなど、「図で考える」ための道具の使い方を丁寧に指導
- 3人の旅人算や和差算を、入試レベルの応用問題につながる形で整理
といった方針で、サピックスに通塾しているお子さまの算数力を底上げします。
詳しいご案内はこちら
Sapixの特徴についてはコチラ、
当塾でのSapix対策についてはコチラをご覧ください。
まとめ:図・和差・ダイヤを味方にして速さの応用を克服しよう
- 3人の旅人算では、必ず線分図をかき、同じ時間には同じ記号を書いて整理する。
- 3人の問題も、基本は2人ずつの「出会い」「追いつき」の組み合わせとして考える。
- 速さの和差算は、「速さの和」と「速さの差」が条件から読み取れる問題。文章を読みながら、どこが和・差の情報かを意識する。
- ダイヤグラムでは、「何分間で何m進むか」に注目し、グラフを速さの式に言い換える。
- 線分図・和差算・ダイヤグラムはどれも、速さ=距離÷時間という基本公式の応用形である。
- 図やグラフに書き込みながら考える習慣をつければ、サピックスの速さ応用問題は大きな得点源になりうる。
動画と本ページをくり返し活用しながら、3人の旅人算・速さの和差算・ダイヤグラムを「図で考えられる分野」に変えていきましょう。それが、今後の速さ分野全体の安定した得点につながります。



