旅人算とは?出会い算・追いつき算の公式と考え方【 510-08】

サピックス5年生の旅人算|速さの和・差と出会い算・追いつき算の基本
旅人算は、2人や2台が動く場面で、出会うまでの時間や追いつくまでの時間を求める速さの文章題です。
出会いの問題では主に速さの和、追いつきの問題では主に速さの差を使います。ただし、公式を覚えるだけではなく、速さ・距離・時間の関係や単位換算を理解しておくことが大切です。
サピックス5年生の学習では、授業中は理解したつもりでも、家庭学習でテキストを解き直すと「どの式を立てるかを改めて見る場面がある」「速さを足すのか引くのかを比べて見る場面がある」ということがあります。このページでは、旅人算を解く前提となる速さの基本から、出会い算・追いつき算の考え方まで順番に整理します。
このページでは、サピックスに通う小学5年生を想定し、次の内容を順番に見ていきます。
- 速さ・距離・時間の3公式
- 秒速・分速・時速のそろえ方
- 出会い算で速さの和になる理由
- 追いつき算で速さの差になる理由
- 数値を使った基本例題
- 距離の和と距離の差の見分け方
- 旅人算を復習したいときの次ページの選び方
この記事の使い方:目的別に見る内容を選ぶ
旅人算で見直したい内容は、生徒さんによって異なります。最初から個別指導や講座を検討する前に、まずはどこを整理するかを分けて考えると、次に見る内容を選びやすくなります。
問題文の条件を整理したい場合
旅人算では、誰がどこから出発し、どの向きに進むかを読み取ります。問題文の区切り方を見直したい場合は、文章題の読み方を先に整理すると考えやすくなります。
自分の答案で見直す場所を知りたい場合
公式は理解しているのに、サピックスの問題になると式や図の流れを見直したい場合は、答案を見ながら考え方の流れを追う方法が合うことがあります。
動画講義:速さの3公式と旅人算の基本
この動画は、サピックスに通塾している小学5年生で、算数を基礎から見直したい生徒さん向けに「授業に入る前に見ておいてほしいポイント」をまとめた内容です。重要な部分に絞ったコンパクトな講義ですので、基本事項の復習にご活用ください。※本動画は、サピックスで使用されているテキストそのものの解説ではありません。あらかじめご了承ください。
動画を見たあとは、以下の解説で公式の意味と例題の解き方を整理しましょう。
1.速さの3公式と単位のそろえ方
速さの問題では、最初に「何を求めるのか」を見ます。求めるものによって、速さ・距離・時間の公式を使い分けます。
速さ・距離・時間の3公式
速さ・距離・時間の関係は、次の3つの式で表せます。
- 速さ = 距離 ÷ 時間
- 距離 = 速さ × 時間
- 時間 = 距離 ÷ 速さ
例えば、分速80mで5分間歩いたときの距離は、次のように求めます。
80 × 5 = 400m
反対に、400mを分速80mで歩く時間を求める場合は、次の式になります。
400 ÷ 80 = 5分
文章題を読んだら、すぐに式を立てるのではなく、まず次の2点を整理しましょう。
- 把握しているものは、速さ・距離・時間のどれか
- 求めたいものは、速さ・距離・時間のどれか
秒速・分速・時速の変換
速さの単位がそろっていないと、計算前に単位を整理します。式を立てる前に、秒速・分速・時速を同じ単位にそろえます。
- 秒速から分速:秒速 × 60 = 分速
- 分速から秒速:分速 ÷ 60 = 秒速
- 分速から時速:分速 × 60 = 時速
- 時速から分速:時速 ÷ 60 = 分速
例えば、秒速2mを分速に直すと、次のようになります。
2 × 60 = 分速120m
また、時速6kmを分速に直す場合は、距離の単位にも注意します。
- 6kmを6000mに直す
- 6000mを60分で割る
6000 ÷ 60 = 分速100m
「時速6kmだから6÷60」とすると、距離の単位がkmのままになります。問題でmを使う場合は、kmからmへの変換も行います。
2.旅人算の基本:出会いと追いつき

旅人算は、2人や2台が動くことで、最初にあった距離が少しずつ縮まっていく問題です。
大切なのは、単位時間あたりに、2人の間の距離がどれだけ縮まるかを見ることです。
- 向かい合って進む場合は、2人分の速さで距離が縮む
- 同じ方向に進む場合は、速い人と遅い人の速さの差だけ距離が縮む
出会い算では「速さの和」を使う
離れた場所にいる2人が向かい合って進むと、2人が進んだ距離の合計だけ、最初の距離が縮みます。
そのため、出会うまでの時間は次の式で求められます。
出会うまでの時間 = 最初の距離 ÷ 速さの和
問題によっては、最初の距離を「距離の和」と表現することもあります。重要なのは、2人が合わせて毎分どれだけ近づくかを見ることです。
出会い算の例題
例題
AさんとBさんは1200m離れた場所から、同時に向かい合って歩き始めました。Aさんは分速70m、Bさんは分速50mで歩きます。2人は何分後に出会いますか。
まず:単位をそろえる
距離はm、速さはどちらも分速なので、単位はそろっています。
次に:毎分縮まる距離を求める
AさんとBさんは向かい合って進むため、速さを足します。
70 + 50 = 分速120m
最後に:最初の距離を、毎分縮まる距離で割る
1200 ÷ 120 = 10分
答え:10分後
確かめとして、それぞれが10分で進んだ距離を求めます。
- Aさん:70 × 10 = 700m
- Bさん:50 × 10 = 500m
700mと500mを足すと1200mになるため、計算結果が問題の条件と一致しています。
追いつき算では「速さの差」を使う
同じ方向へ進む2人では、後ろの人が前の人より速いときに追いつくことができます。
ただし、前の人も進み続けているため、後ろの人の速さをそのまま使うのではなく、2人の速さの差を見ます。単位時間あたりに縮まる距離は、2人の速さの差です。
追いつくまでの時間 = 最初の距離の差 ÷ 速さの差
追いつき算の例題
例題
Aさんは分速60mで歩いています。Aさんが出発してから5分後に、Bさんが同じ場所から分速90mで追いかけました。Bさんは出発してから何分後にAさんに追いつきますか。
まず:Aさんが先に進んだ距離を求める
Aさんは5分早く出発しているため、最初に次の距離だけ先にいます。
60 × 5 = 300m
次に:毎分縮まる距離を求める
BさんはAさんより毎分30m多く進みます。
90 − 60 = 分速30m
最後に:最初の距離の差を、速さの差で割る
300 ÷ 30 = 10分
答え:Bさんが出発してから10分後
このとき、Aさんは合計15分歩いています。
- Aさん:60 × 15 = 900m
- Bさん:90 × 10 = 900m
2人が同じ地点にいることを確かめられます。
3.旅人算の利用:距離の和・距離の差に注目する

旅人算の利用問題では、登場人物が折り返したり、途中で速さが変わったりすることがあります。
状況が複雑に見える場合でも、基本となる視点は次の2つです。
- どの距離が縮まっているか
- 単位時間あたりにその距離がどれだけ変化するか
距離の和を見る場面
2人が離れた場所から向かい合って進む場合は、2人が進んだ距離の合計が、最初の距離と等しくなったときに出会います。
そのため、次の関係を使います。
2人が進んだ距離の和 = 最初に離れていた距離
距離の差を見る場面
前にいる人を後ろの人が追いかける場合は、最初にできていた距離の差が少しずつ縮まります。
そのため、次の関係を使います。
最初の距離の差 = 速さの差 × 追いつくまでの時間
利用問題で整理する順番
折り返しや速さの変更がある問題では、最初から1つの式にまとめようとせず、場面を区切って考えます。
- 誰が、どこから、どの向きに進むかを見る
- 同時に動き始めるか、出発時刻に差があるかを見る
- 速さと時間の単位をそろえる
- 途中で折り返す場所や、速さが変わる時点を見る
- その場面で縮まる距離が、和なのか差なのかを整理する
問題文が長い場合は、人物ごとに線を分け、出発地点、進む向き、速さ、経過時間を書き込むと条件を追いやすくなります。
利用問題の短い確認例:折り返しがある場合
確認例
A地点とB地点は1200m離れています。AさんはA地点から分速80m、BさんはB地点から分速40mで、同時に向かい合って出発しました。AさんはB地点に着いたらすぐ折り返します。Aさんが折り返したあと、Bさんに追いつくのは出発してから何分後ですか。
場面A:AさんがB地点に着くまで
AさんがB地点に着くまでの時間は、次のように求めます。
1200 ÷ 80 = 15分
この15分で、Bさんは次の距離を進みます。
40 × 15 = 600m
つまり、AさんがB地点で折り返す時点で、AさんとBさんの間には600mの差があります。
場面B:折り返したあとに追いつくまで
折り返したあとは、AさんもBさんも同じ向きに進みます。Aさんのほうが分速80mで速く、Bさんは分速40mなので、毎分縮まる距離は次の通りです。
80 − 40 = 分速40m
600mの差を分速40mで縮めるため、追いつくまでの時間は次のようになります。
600 ÷ 40 = 15分
出発してからの時間は、AさんがB地点に着くまでの15分と、折り返したあとに追いつくまでの15分を合わせます。
15 + 15 = 30分
答え:出発してから30分後
このように、折り返しがある問題では、折り返し前と折り返し後で「向き」と「縮まる距離」が変わります。場面を分けて、どの距離が変化しているかを整理しましょう。
4.旅人算でよく見直したいポイント
速さの和と差を整理する
公式だけでなく、出会いでは速さの和、追いつきでは速さの差になる理由を場面ごとに見ていくことが大切です。
式を立てるときは、2人の間の距離が単位時間あたりにどれだけ縮まるかを具体的に見ます。
単位をそろえて計算する
一方が分速、もう一方が時速の場合は、同じ単位にそろえてから計算します。また、kmとm、時間と分が混ざっている場合も変換します。
式を立てる前に、次のように単位を横に書き添えると見直しやすくなります。
- 距離:mまたはkm
- 速さ:秒速、分速、時速
- 時間:秒、分、時間
先に進んだ距離を整理する
追いつき算で出発時刻が異なる場合、先に出た人がどれだけ進んでいるかを最初に求めます。
先に進んだ距離 = 先に進んだ人の速さ × 時間差
この距離が、追いつき算で使う最初の距離の差になります。
誰の出発から数えた時間かをそろえる
「Aさんが出発してから何分後」と「Bさんが出発してから何分後」では答えが変わります。
計算結果が、どの時点から数えた時間なのかを、答えを書く前に見直しましょう。
見直す内容別に次に読むページ
旅人算を復習するときは、同じ問題を何度も解き直すだけでなく、見直したい内容に合うページを選ぶことが大切です。
問題文の読み取りを整理したい場合
出発時刻、進む向き、求める時間をそろえて読みたい場合は、文章題の条件整理を練習すると見通しを立てやすくなります。
答案ごとに考え方の流れを見たい場合
「式の立て方は合っているのか」「図のどこを見ればよいのか」を自分の答案で見直したい場合は、マンツーマンで整理する方法もあります。
5.サピックス5年生の学習への活かし方
速さと旅人算は、この先に学習する次の単元にもつながります。
- 速さとグラフ
- 流水算
- 通過算
- 時計算
- 速さと比を組み合わせた問題
算数を基礎から見直したいサピックス5年生は、次の順番で学習すると流れをつかみやすくなります。
- 動画で速さと旅人算の全体像をつかむ
- 速さ・距離・時間の3公式を書き出す
- 秒速・分速・時速の単位換算を練習する
- 出会い算の基本問題を解く
- 追いつき算の基本問題を解く
- 図をかいて距離の和と差を整理する
- 折り返しや速さの変化がある利用問題へ進む
公式を当てはめるだけでなく、計算後には「2人が進んだ距離の合計は合っているか」「追いついた地点は同じか」を確かめる習慣をつけましょう。
家庭学習では、解説を読めば理解できる問題と、答案を見ながら考え方の流れを追う方法が合う問題があります。たとえば、単位換算や公式の復習であれば自力で見直しやすい一方、図のかき方、場面の分け方、式の立て方で毎回見直しが必要な場合は、どの場面で式や図の流れを見るかを整理しましょう。
旅人算についてよくある質問
出会い算では、必ず速さを足しますか?
向かい合って進み、2人の間の距離が両方の移動によって縮まる場合は、基本的に速さを足します。ただし、同じ方向から近づく場合などは状況が異なるため、単位時間あたりに2人の間の距離がどれだけ縮むかを見てください。
追いつき算では、なぜ速さを引くのですか?
前の人も進み続けているためです。後ろの人が分速90m、前の人が分速60mなら、2人の間の距離は90mではなく、90-60=30mずつ縮まります。
旅人算で図は必ずかいたほうがよいですか?
基本問題では暗算できる場合もありますが、出発時刻が違う問題、折り返す問題、途中で速さが変わる問題では、図をかいたほうが条件を追いやすくなります。出発地点、進む向き、速さ、時間を書き込みましょう。
単位換算は、どのタイミングで行いますか?
原則として、速さを足したり引いたりする前に行います。秒速と分速、分速と時速など、異なる単位のままでは速さの和や差を求められません。
公式は覚えているのに、式の立て方を選ぶには何を見ればよいですか?
問題文から「最初の距離」「単位時間あたりに縮まる距離」「何を求めるか」を整理する場面があります。人物ごとに条件を整理し、2人の間の距離がどのように変わるかを図で見てみてください。
サピックスの旅人算で家庭学習を進めるとき、何から見直せばよいですか?
まず、速さ・距離・時間の3公式と単位換算を整理します。そのうえで、出会いでは距離の和、追いつきでは距離の差を見ているかを図で確認しましょう。基本問題は解けるのに復習問題で式や図の流れを見直したい場合は、問題文の条件整理や場面の分け方を見直しましょう。
当塾でのSAPIX算数対策
サピックス算数の特徴と当塾の方針
サピックスの算数では、計算するだけでなく、文章から状況を読み取り、自分で図や式を立てる力が求められます。
速さ・旅人算は、読み取り、単位換算、図による整理、計算を組み合わせる単元です。
当塾では、次の点を整理しながら学習を支援しています。
- 速さ・距離・時間の関係を理解できているか
- 秒速・分速・時速を正しく変換できているか
- 問題文から出発地点と進む向きを読み取れているか
- 出会いでは速さの和、追いつきでは速さの差になる理由を説明できるか
- 線分図や式に必要な条件を書き込めているか
SAPIXの特徴については、SAPIXの費用・宿題量・クラス替えを保護者向けに確認するをご覧ください。
答案やノートを見ながら整理したい場合は、学習状況に合わせて方法を選べます。オンラインで自宅から相談したい場合は算数オンライン塾の個別指導、教室で塾教材や答案を見ながら相談したい場合は中学受験算数の個別指導をご覧ください。
小5算数の基礎復習、個別指導、オンライン指導などを比較したい場合は、中学受験算数の講座一覧で目的に合う内容を確認できます。初めて夏井算数塾を知った方は、夏井算数塾の考え方と主な案内もご確認ください。
次に見る内容を目的別に選ぶ
旅人算を学んだあとに見る内容は、現在整理したい点によって異なります。まずは、今の状態に近いものを選んでください。
図・式・答案を見ながら整理したい
オンラインで自宅から見直したい場合はオンライン個別、教室で塾教材を見ながら相談したい場合は教室での個別指導が選べます。
どの講座が合うか比較したい
小5算数の基礎復習、個別指導、オンライン指導など、目的に合う講座を一覧で見られます。初めて夏井算数塾を知った方は、塾全体の考え方もあわせて確認できます。
まとめ:速さの3公式と距離の変化を確認しよう
- 速さの基本は速さ=距離÷時間である
- 距離を求めるときは速さ×時間を使う
- 時間を求めるときは距離÷速さを使う
- 秒速・分速・時速は、計算前に同じ単位へそろえる
- 向かい合って進む出会い算では、主に速さの和を使う
- 同じ方向へ進む追いつき算では、主に速さの差を使う
- 出発時刻が異なる追いつき算では、先に進んだ距離を求める
- 利用問題では、距離の和と距離の差のどちらを見るかを整理する
- 折り返しがある問題では、場面を分けて向きと距離の変化を見る
- 計算後は、2人が進んだ距離や到着地点が条件と合うか確かめる
旅人算は、公式を覚えるだけでなく、2人の間の距離が一定時間ごとにどれだけ変化するかを考えることが重要です。
動画と例題を使いながら、式を見ずに「なぜ速さを足すのか」「なぜ速さを引くのか」を説明できる状態を目指しましょう。
基本を復習してもサピックス教材の復習で式や図の流れを見直したい場合は、速さの公式、文章題の読み取り、答案の見直しのうち、どこを先に整理するかを分けて考えると、次の学習に進みやすくなります。



