510-08 旅人算(1)
サピックス5年生のための「速さ・旅人算」基礎整理
速さの文章題や旅人算は、サピックス5年生の中でも「公式は知っているのに点数につながりにくい」単元の代表です。
・単位(秒速・分速・時速)をそろえ忘れる
・出会いと追いつきのどちらで式を立てるのか迷う
・距離なのか時間なのか、何を求めているか途中で分からなくなる
といったミスが起こりやすい分野でもあります。
このページでは、動画と合わせて速さの3公式・旅人算の基本・利用問題の考え方を、授業前後の予習・復習用に整理しました。
動画講義:速さの3公式と旅人算の基本
この動画は、サピックスに通塾している小学5年生で、算数が苦手な生徒さん向けに「授業に入る前に見ておいてほしいポイント」をまとめた内容です。
重要な部分だけを絞ったコンパクトな講義となっていますので、基本事項の復習にご活用いただければ幸いです。
※本動画は、サピックスで使用されているテキストそのものの解説ではありません。あらかじめご了承ください。
1.速さの3公式と単位のそろえ方
速さの問題は、まず「何を求めるのか(速さ・距離・時間)」をはっきりさせ、状況に応じて3つの公式を使い分けます。
速さの3公式
速さ・距離・時間の関係は、次の3つの公式で整理できます。
- 速さ = 距離 ÷ 時間
- 距離 = 速さ × 時間
- 時間 = 距離 ÷ 速さ
どれも同じ関係を表していますが、「何が分かっていて、何を求めるのか」によって使う形が変わります。
文章題を読んだら、まずは
- 分かっているもの:速さ?距離?時間?
- 知りたいもの:速さ?距離?時間?
を整理してから式を決める習慣をつけましょう。
秒速・分速・時速の変換
速さの単位がバラバラだと計算ができないので、必ず同じ単位にそろえてから解きます。
- 秒速 → 分速: 秒速 × 60 = 分速
- 分速 → 秒速: 分速 ÷ 60 = 秒速
- 分速 → 時速: 分速 × 60 = 時速
- 時速 → 分速: 時速 ÷ 60 = 分速
ポイントは、
- 「1分は60秒」「1時間は60分」という対応を常に意識すること
- 問題文の途中で単位が変わっていないかを確認すること
単位がそろっていない状態で公式を使うと、答えが大きくずれてしまいます。
「式を立てる前に単位チェック」をルールにしておきましょう。
2.旅人算の基本形:出会いと追いつき
旅人算は、「離れた2点から動き出す人・物が出会う」「前を走る人に追いつく」といった、動く速さに関する典型的な文章題です。
まずは1分あたりどれくらい近づく(または離れる)のかという視点を持つことが大切です。
基本の考え方:1分間でどれだけ距離が変化するか
2人(2台)の速さがそれぞれ分かっているとき、
- 近づいていく場合 → 速さの和に注目
- 離れていく・追いついていく場合 → 速さの差に注目
します。ここから次の2つの基本公式が生まれます。
出会いの問題(向かい合って進む・同じ方向から近づく)
2人(2台)が互いに近づいていくとき、「出会うまでの時間」は次の式で求められます。
- 出会い: 出会うまでの時間 = 距離の和 ÷ 速さの和
ここでいう
- 距離の和: 2人(2台)が最初に離れていた距離の合計
- 速さの和: 2人(2台)が1分(または1時間)あたりに近づくスピード
です。
「1分あたりにどれだけ距離が縮まるか(速さの和)」をもとに、全部で何分かかるかを考えるイメージです。
追いつきの問題(同じ向きに動いて追いかける)
前を進む人(車)を後ろから追いかけて追いつくまでの時間は、次の式で求めます。
- 追いつき: 追いつくまでの時間 = 距離の差 ÷ 速さの差
ここでいう
- 距離の差: 追いかける側と追われる側の、スタート時点での離れた距離
- 速さの差: 2人(2台)の速さの差(=1分あたりに縮まる距離)
です。
「どれだけ離れているか(距離の差)」を、「1分でどれだけ縮むか(速さの差)」で割ることで、追いつくまでにかかる時間が分かります。
出会いも追いつきも、「距離の変化」=「変化の速さ」×「時間」という考え方に基づいています。公式の形だけでなく、意味もセットで理解しておくと応用問題に強くなります。
3.旅人算の利用:距離の和・距離の差に注目
旅人算の利用問題では、状況が少し複雑になっても、基本は
- 距離の和に注目するか
- 距離の差に注目するか
のどちらかです。
どこに注目するかを意識して問題を読む
元記事では、
「旅人算の利用をするときは、距離の差、距離の和のどちらかに注目して解くというパターン」
と説明されています。これは、次のような読み方をしなさい、という意味です。
- 2人が離れた場所からスタートして出会う → 最初の距離の和に注目
- 2人が同じ方向に進み、追いついたり一定の距離を保ったりする → 最初の距離の差に注目
また、利用問題では、
- 途中で誰かが折り返す
- 速さが変わる区間がある
- 「何分後」「何km進んだとき」など、条件が追加される
といったケースもよく出てきますが、どの場合も、
- ① どの区間で誰と誰が「出会う」「追いつく」のか
- ② そのときに考えるべき距離は「和」か「差」か
を意識して整理していけば、基本公式から式を組み立てることができます。
4.サピックス5年生の学習への活かし方
速さ・旅人算は、この先の
- 速さとグラフ
- 流水算(川の流れ)
- 通過算・時計算
などの単元とも深くつながる重要テーマです。算数が苦手なサピックス5年生には、次のステップでの学習をおすすめします。
- 動画で速さの3公式と旅人算のイメージをつかむ
- 本ページの内容をもとに、ノートに3公式・単位変換・出会い/追いつきの式を整理して書き出す
- 基本問題では、必ず単位をそろえる→何を求めるか決める→どの公式を使うか選ぶの順で解く
- 利用問題では、図をかきながら、「距離の和」か「距離の差」かを毎回意識して式を立てる
「公式を丸暗記して当てはめる」だけではなく、「距離がどれだけ変化するのか」「1分あたりにどれくらい近づくのか」という意味を考えることで、応用問題への対応力が身についていきます。
当塾でのSapix対策
サピックス算数の特徴と当塾の方針
サピックスの算数は、単純な計算だけでなく、文章から状況をイメージし、自分で式を立てる力を重視した問題が多いのが特徴です。
速さ・旅人算は、その中でも読み取り力・論理力・計算力が一度に試される単元です。
当塾では、
- サピックスのカリキュラムに合わせて、速さ・旅人算のつまずきやすいポイントを事前にフォロー
- 動画と演習を組み合わせ、単位変換・図の描き方・式の立て方を段階的に指導
- 「速さの3公式」と「距離の和/差」を、入試レベルの応用問題につながる形で定着
といった方針で、サピックスに通塾しているお子さまの算数学習をサポートしています。
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まとめ:速さの3公式と「距離の和・差」を味方にしよう
- 速さの基本は速さ=距離÷時間。状況に応じて、距離=速さ×時間、時間=距離÷速さの形を使い分ける。
- 秒速・分速・時速の単位変換を正しく行い、必ず同じ単位にそろえてから計算する。
- 旅人算の基本は、「1分あたりどれだけ距離が変化するか」を考えること。
- 出会い:出会うまでの時間 = 距離の和 ÷ 速さの和。
- 追いつき:追いつくまでの時間 = 距離の差 ÷ 速さの差。
- 利用問題では、状況に応じて距離の和か距離の差のどちらに注目すべきかを意識して問題を読む。
- 公式の暗記だけでなく、「どれくらい近づくのか・離れるのか」という意味を理解することで、サピックスの応用問題にも対応できる力がつく。
動画と本ページをくり返し活用しながら、速さの3公式と旅人算の考え方を自分の言葉で説明できるレベルまで定着させていきましょう。それが、今後の速さ・グラフ・流水算・時計算など、多くの単元での大きな武器になります。


