510-04 倍数
サピックス5年生の「倍数・公倍数」が不安な方へ
「最小公倍数の出し方がごちゃごちゃする」「ベン図を使う問題で条件を整理しきれない」「あまりの問題になると一気に分からなくなる」――。
倍数・公倍数の単元は、サピックス5年生にとって「わかったつもりになりやすいのに、テストで失点しやすい単元」の一つです。
このページでは、動画講義とあわせて、
倍数・公倍数・最小公倍数の基本から、割る数とあまりの関係、そして規則性と公倍数の考え方までを、授業前の予習・授業後の復習として使いやすいように整理しました。
「授業に入る前にここだけは押さえたい」というポイントを中心にまとめていますので、ぜひノートと一緒に確認してみてください。
動画講義:サピックス5年生向け・倍数と公倍数のポイント
この動画は、サピックスに通塾している小学5年生で、算数が苦手な生徒さん向けに「授業に入る前に見ておいてほしいポイント」をまとめた内容です。
重要な部分だけを絞ったコンパクトな講義となっていますので、基本事項の復習にご活用いただければ幸いです。
※本動画は、サピックスで使用されているテキストそのものの解説ではありません。あらかじめご了承ください。
1.倍数・公倍数・最小公倍数の基本
まずは、この単元の土台となる「倍数」「公倍数」「最小公倍数」の意味と、代表的な求め方を整理しておきましょう。
倍数と公倍数とは?
- 倍数:ある数を整数倍した数(例:3の倍数=3, 6, 9, 12, …)
- 公倍数:2つ以上の数について共通している倍数のこと
特に、最小公倍数は「公倍数のうち最も小さいもの」です。
公倍数は、次の性質をしっかり押さえておきましょう。
公倍数 = 最小公倍数の倍数
(例:6と8の最小公倍数が24なら、6と8の公倍数は24, 48, 72, …と続いていく)
最小公倍数は「逆わり算」で求める
最小公倍数を見つけるとき、サピックスのテキストでもよく出てくるのが逆わり算の方法です。
【逆わり算の基本】
- 調べたい数をならべて書く(例:12と18と24)
- 共通して割り切れる数(たいていは素数)で同時に割る
- 割り切れたら、下の段に商を書いて、また共通して割れる数を探す
- これ以上2つ以上同時に割れなくなったら終了
- 左側に並んだ割る数と、一番下の段の数をすべてかけ算したものが最小公倍数
このとき重要なのが、次のポイントです。
- 「2個以上割れるものがある場合は必ず割らなければならない」
共通して割れる数があるのに割らずに進めてしまうと、結果が最小公倍数ではなくなってしまいます。
「一度にできるだけ多くの数を割る」ことを意識しましょう。
何で割ればよいか迷ったら「差の約数」に注目
逆わり算をするときに、
「どの数で割ればいいか分からない…」
という場面があります。
そんなときは、数どうしの差に注目するのも有効です。
- 2つの数の差の約数は、もとの2つの数の公約数になりやすい
- 差を小さくしてから考えると、割る数の候補が見つけやすくなる
約数・公約数の単元とつながる考え方なので、倍数・公倍数の問題でもぜひ意識して使ってみましょう。
公倍数と最小公倍数の関係を使いこなす
公倍数は
「最小公倍数の倍数」
だとわかっていれば、
- 「〜番目の公倍数を求める」
- 「ある範囲の中にいくつ公倍数があるかを数える」
といった問題も、
「最小公倍数 × 何倍目?」
という視点で整理できます。
ベン図で整理する「倍数の条件」
次のような条件が出てくる問題では、ベン図を使うと非常に分かりやすくなります。
- 〇でも△でも割り切れない数
- 〇で割り切れて△で割り切れない数
- 〇と△の両方で割り切れる数 など
ベン図の考え方は次の通りです。
- 片方の円:Aの倍数(Aで割り切れる数)
- もう片方の円:Bの倍数(Bで割り切れる数)
- 重なっている部分:AとBの公倍数
- どちらの円にも入らない部分:AでもBでも割り切れない数
図に書き分けることで、「どの部分が条件に合う数なのか」が視覚的に整理できるようになります。
倍数を調べるときのコツ
倍数をひとつずつ調べていく問題では、必ず
「小さい方の数の倍数から順に調べる」
ことを守りましょう。
- 大きい数から調べると、ムダな計算が増えて時間切れになりやすい
- 最小公倍数を探すときは、小さい数の倍数をメインにチェックするのが効率的
2.「割る数」とあまりの関係
倍数・公倍数の問題と深く結びついているのが、「割る数」と「余り」の関係です。ここを理解しておくと、サピックスらしい文章題にも対応しやすくなります。
「☐でわったら△あまる数」の表し方
「☐で割ったら△余る数」は、次のように表すことができます。
☐の倍数 + △
例えば、「5で割ったら2余る数」は
- 5×0+2=2
- 5×1+2=7
- 5×2+2=12
- 5×3+2=17
というように、「5の倍数+2」という形の数が並んでいきます。
複数条件があるときの考え方
「Aで割るとa余り、Bで割るとb余る」といった複数の条件がある問題では、次のように進めます。
- それぞれの条件を、「Aの倍数+a」「Bの倍数+b」という形で意識する
- 条件を満たす数を、小さい方から地道に調べていく
- 最初に条件を両方とも満たす数(1個目)を発見する
- それ以降は「一定の間隔」で同じ条件を満たす数が出てくるので、計算で求める
元記事にもある通り、
「1個目の数さえ見つかれば、それ以降は計算で求めることができる」
という点が非常に重要です。
この「間隔」は、AとBの最小公倍数になっていることが多いので、倍数・公倍数の知識とセットで使うイメージで押さえておきましょう。
3.規則性と公倍数
サピックスでは、「規則性」と「公倍数」が結びついた問題もよく出てきます。
ここでは、「セット」に注目する考え方を身につけておきましょう。
1セットに注目して考える
時計の鐘が鳴る問題や、決まった時間ごとに動く機械など、一定の周期でくり返される動きは、
- 何秒(何分)ごとに起こるか
- それが同時に起こるタイミングはいつか
という点で、公倍数と深く関わっています。
【考え方の流れ】
- それぞれの動きを1セット何秒(何分)かで表す
- セットの長さどうしの最小公倍数を求める
- その最小公倍数が、「全員(全部)がそろうタイミング」になっていることが多い
数字のズレを防ぐチェックポイント
規則性+公倍数の問題では、ちょっとした読み違いで数字がズレることがあります。次の点に注意しましょう。
- スタートのとき(0秒・0分)にすでに鳴っているか(数えるかどうか)
- 「何回目」なのか、「何秒後(何分後)」なのかが問われている
- セットの数を数えるのか、時間そのものを答えるのか
細かいところまで意識して読まないと、「計算は合っているのに答えだけズレている」というもったいない失点につながります。
問題文をていねいに読み、条件と答えるべき内容を必ず確認しましょう。
4.サピックス5年生のための学習のすすめ方
倍数・公倍数・最小公倍数、割る数とあまり、規則性の問題は、それぞれがバラバラの単元ではなく、つながっている単元です。
算数が苦手なサピックス5年生には、次のような流れでの学習をおすすめします。
- 動画を見て、「倍数」「公倍数」「最小公倍数」「あまり」のイメージをつかむ
- このページの要点を読みながら、ノートに公式・ルール・注意点を書き出す
- 基本問題で、逆わり算・ベン図・「☐の倍数+△」の形を使いこなせるか確認する
- 規則性+公倍数の応用問題に少しずつ挑戦し、「セット」「周期」「最小公倍数」を意識する
単にやり方を暗記するのではなく、「なぜこの式になるのか」「どんな数なら条件を満たすのか」を考えながら解いていくことが、得点力アップへの近道です。
5.当塾でのSapix対策
サピックス算数の特徴と当塾の方針
サピックスの算数は、計算力だけでなく「数の性質」への理解や論理的な思考力を重視した出題が多いのが特徴です。
特に、倍数・公倍数・最小公倍数の単元は、
- 分数
- 割合・比
- 規則性・周期の問題
など、今後の重要単元と深くつながっています。
当塾では、
- サピックスのカリキュラムに合わせて、つまずきやすい単元を事前にフォロー
- 動画と復習プリントを組み合わせ、「わかったつもり」を防ぐ演習を実施
- 倍数・公倍数・最小公倍数の定着を、あまり・規則性の問題とセットで強化
といった形で、サピックスに通塾しているお子さまの算数学習をサポートしています。
詳しいご案内はこちら
Sapixの特徴についてはコチラ、
当塾でのSapix対策についてはコチラをご覧ください。
まとめ:倍数・公倍数・最小公倍数を算数の「味方」にする
- 最小公倍数は、逆わり算で求められる。2個以上同時に割れるときは、必ず同時に割る。
- 迷ったときは差の約数に注目すると、割る数の候補が見つけやすい。
- 公倍数 = 最小公倍数の倍数という関係を使うと、「何番目の公倍数」「いくつあるか」を整理しやすい。
- ベン図を使えば、「〇でも△でも割り切れない」「〇で割れて△で割れない」といった条件を視覚的に整理できる。
- 「☐で割ったら△余る数」は☐の倍数+△で表せる。複数条件があるときは、最初の1つを見つけてからは計算で処理する。
- 規則性+公倍数の問題では、1セットの長さと最小公倍数に注目し、スタートの扱いなど細かい条件の読み違いに注意する。
- 倍数・公倍数の理解は、この先の分数・比・割合・規則性の単元にも直結する重要な土台。動画と本ページを活用し、意味からしっかり理解して授業に臨もう。
倍数・公倍数・最小公倍数は、使いこなせるようになると算数全体の見通しがよくなる「便利な道具」です。
ぜひ何度も復習し、テストで自信を持って使える武器にしていきましょう。


