510-02小6算数「複合図形と円」の面積攻略──3.14の使い方と周りの長さの求め方
曲線図形が苦手なサピックス5年生へ
円やおうぎ形、曲線を含む複合図形は、多くの小学生にとって「なんとなく苦手」になりやすい単元です。
本ページでは、動画講義とあわせて、
円・おうぎ形の基本公式から、複合図形の4つの典型的な求積パターン、そしておうぎ形を描く点の移動問題までを整理しました。
サピックスに通う小学5年生で、算数に不安があるお子さまが、授業に入る前に「ここだけは押さえておきたい!」というポイントをコンパクトにまとめています。
動画講義:曲線図形の面積のポイント
この動画は、サピックスに通塾している小学5年生で、算数が苦手な生徒さん向けに「授業に入る前に見ておいてほしいポイント」をまとめた内容です。
重要な部分だけを絞ったコンパクトな講義となっていますので、基本事項の復習にご活用いただければ幸いです。
※本動画は、サピックスで使用されているテキストそのものの解説ではありません。あらかじめご了承ください。
1.曲線図形の求積の基本
曲線図形の多くは、円やおうぎ形をもとに考えます。まずは公式と用語をしっかり整理しましょう。
円周の求め方
円周とは、円のまわり一周の長さのことです。
円周の求め方:
直径 × 円周率
- 直径…円の中心を通り、円を端から端まで結んだ線の長さ
- 円周率…円周 ÷ 直径で求められる一定の比
円の面積
円の面積は、次の公式で求めます。
円の面積:
半径 × 半径 × 円周率
(= 半径2 × 円周率)
円周率のいろいろな表し方
円周率といえば3.14を思い浮かべますが、問題によっては次のように指定されることがあります。
- 3
- 3.1
- 22/7(7分の22)
- その他、指示された値
必ず問題文の指示を確認し、指定された円周率を使うことがとても重要です。
おうぎ形の面積
おうぎ形とは、円の一部分を切り取ったような図形です。「中心角」が重要なキーワードになります。
- 中心角:円の中心をはさんで二本の半径で作られる角
- 弧:円周の一部分のこと(おうぎ形の外側の曲線)
おうぎ形の面積は、次の考え方で求めます。
おうぎ形の面積:
円の面積 ×(中心角 ÷ 360°)
つまり、「360°分の中心角をかける」ことで、円全体のうち何分のいくつかを表しているかを計算します。
計算を楽にする「3.14のかけ算」暗記
曲線図形の求積では、
「円周率 × 何か」
という計算が必ず出てきます。とくに3.14を使う場合、×9まで暗記しておくと、計算がグッと楽になります。
3.14×1=3.14 3.14×2=6.28 3.14×3=9.42 3.14×4=12.56
3.14×5=15.70 3.14×6=18.84 3.14×7=21.98 3.14×8=25.12
3.14×9=28.26
暗算で素早く出せるようにしておくと、テスト本番で大きな武器になります。
2.複合図形の面積:4つの基本パターン
曲線を含む複合図形の面積は「ぱっと見が複雑」に見えますが、多くの問題は次の4パターンに当てはまります。
- ① バラバラにする
- ② 全体 − いらない部分
- ③ 等積移動
- ④ 等積変形
前回の動画と同様、この4つをしっかり使い分ければ、ほとんどの問題が解けるようになります。
① バラバラにする
図形を三角形・長方形・正方形・円・おうぎ形など、面積の求め方がわかっている形に分けて考える方法です。
- 複雑に見えても、線を引くと「見慣れた形」に分けられることが多い
- 分けた一つ一つの面積を求めて、最後に合計する
② 全体 − いらない部分
大きな図形全体の面積から、不要な部分(白い部分など)を引いて求める方法です。
- 「求めたい部分を直接計算する」のではなく、「引き算で残った部分」としてとらえる
- 円の一部がくりぬかれている図形などでよく使う
③ 等積移動
形をずらしても面積は変わらない、という性質を利用する考え方です。
- 同じ大きさの三角形や長方形をスライドさせて「見やすい形」に並べ替える
- 「高さ」や「底辺」の長さがそろうように移動させると、面積が求めやすくなる
④ 等積変形
形を変えても面積が変わらないことを使って、別の形に変えてから面積を求める方法です。
- 曲線をふくむ図形を「長方形」などに変形して考えることもある
- 「この形だと公式が使いにくい」と感じたら、等積変形を疑ってみる
複合図形=この4パターンのどれか(または組み合わせ)と意識して問題を眺めるだけでも、解き方の見通しが立ちやすくなります。
3.おうぎ形を描く点の移動
おうぎ形を描く点の移動に関する問題は、難しそうに見えますが「図で追いかける」ことがコツです。
基本の考え方
- 半径の長さは一定のまま、点がぐるっと円周上を動いていくイメージ
- 動いた角度(中心角)がわかれば、移動した距離=弧の長さが求められる
- その点が描く部分は、たいていおうぎ形またはその一部と考えられる
補助線を使って「移動範囲」を図示する
おうぎ形を描く点の移動問題では、次のステップで整理するとわかりやすくなります。
- 問題文の通りに、点が動く様子を図に描く
- 円の中心や半径を補助線でしっかり描き、中心角がどこからどこまでかをはっきりさせる
- 「点が通った軌跡」がどの部分の弧(またはおうぎ形)なのかを確認する
- 弧の長さやおうぎ形の面積を、円の公式+(中心角 ÷ 360°)で求める
「補助線で整理 → おうぎ形として認識 → 中心角で割合をかける」という流れを何度も繰り返して慣れていきましょう。
4.サピックス5年生向けの活用法
本動画・本ページは、次のような目的で作成しています。
- サピックス5年生が、授業に入る前に押さえておきたいポイントを事前に確認する
- すでに授業を受けたあとに、「どこが重要だったのか」を振り返る復習用として活用する
- 曲線図形に苦手意識があるお子さまが、公式や典型パターンを整理し直すきっかけにする
とくに算数が苦手な生徒さんは、いきなりテキストの演習に入る前に、
- 円・おうぎ形の公式
- 複合図形の4パターン
- 点の移動の「補助線+おうぎ形」の考え方
この3点を動画とあわせて確認しておくと、授業内容の理解がスムーズになります。
5.当塾でのSapix対策
サピックス算数の特徴と対策方針
サピックスの算数は、「思考力」「読解力」「図形感覚」をバランスよく問う問題が多く、
単に公式を暗記するだけでは対応が難しいのが特徴です。
当塾では、こうした特徴をふまえたうえで、
- 単元ごとの「つまずきやすいポイント」を事前に整理
- 図や補助線を使った考え方のプロセスをていねいに指導
- サピックスの学習サイクルに合わせた復習・フォローを行う
といった形で、サピックスに通塾しているお子さまの学習をサポートしています。
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当塾でのSapix対策についてはコチラをご覧ください。
まとめ:曲線図形は「公式+4パターン+補助線」で攻略
- 曲線図形の基本は、円周・円の面積・おうぎ形の面積を正しく使えるかどうか
- 円周率は3.14だけでなく、3・3.1・22/7など指示に従って使い分ける
- 複合図形は、①バラバラにする ②全体−いらない部分 ③等積移動 ④等積変形の4パターンで考える
- おうぎ形を描く点の移動は、補助線で移動範囲を図示し、「おうぎ形+中心角」で整理するのがコツ
- サピックス5年生で算数が苦手なお子さまは、授業の前後で本動画と本ページを活用し、「公式の暗記」ではなく「考え方の流れ」を身につけていきましょう。
曲線図形は、一度しくみが分かると「パターンで解ける」得点源になります。
ぜひ動画とあわせて、何度も見返しながら自分のものにしていきましょう。



