中学入試算数で頻出する立体図形を克服する方法
中学入試の算数では、立体図形は毎年のように出題される頻出分野です。一方で、「イメージしづらい」「図が描けない」といった理由から苦手意識を持ちやすい単元でもあります。
しかし、いくつかのポイントを押さえて学習すれば、立体図形はむしろ安定した得点源に変えやすい分野です。このページでは、立体図形を克服するための具体的な考え方と学習のコツを整理してご紹介します。
中学入試算数における立体図形の重要性
立体図形は、次のような形式で出題されることが多い分野です。
- 立方体・直方体の展開図や切断
- 積み木の個数・見えない立体の個数
- 体積・表面積・体積比の問題
- 水位の変化や、入れ物の形状を利用した応用問題
これらの問題を正しく解くためには、
- 頭の中で立体をイメージする力
- そのイメージを自分の手で図として再現する力
- 図形をさまざまな方向からとらえ直す柔軟さ
が必要になります。つまり、立体図形は「図形センス」を育てるうえでも非常に良い訓練素材だと言えます。
立体図形を克服する3つのポイント
立体図形が苦手なお子さまに共通して言えることは、「図を描かない・描けないまま進めてしまう」ことと、「1つの見方に固執してしまう」ことです。ここでは、その克服のために意識したい3つのポイントをご紹介します。
① なるべく正しい図形を描く
なるべく正しい図形を描く
立体図形の問題は、正しい図形をイメージし、それを自分で描けるようにならなければ解くことができません。提示された条件から、
- どの辺が平行なのか
- どの面が手前で、どの面が奥にあるのか
- どこを切っているのか、どこに点や線があるのか
といった情報を整理しながら、できるだけ正確な図に落とし込んでいくことが重要です。
正しい図形を自分の手で描くことで、図形をより的確にとらえられるようになり、問題を解く手助けになります。
はじめは時間がかかっても構いません。日々の演習で、
- 立方体・直方体を素早く描けるようにする
- 対角線や切断面を、見やすく描き入れる練習をする
といったトレーニングを繰り返し行い、「立体を描くこと」を当たり前にしていきましょう。
② 色々な方向から眺める
色々な方向から眺める
立体図形は、上から・正面から・横からなど、さまざまな方向からとらえてみることが大切です。
たとえば、
- 正面から見ると複雑に見える立体でも、上から見た図(平面図)にすると規則性が見えやすくなる
- 横から見た図に描き直すことで、「実は一直線上に並んでいた」などの関係性に気づける
といったことはよくあります。
図形を色々な角度から眺めることで、図形を正しく理解できるようになり、結果として問題をシンプルにとらえ直すことができるようになります。
演習の際には、
- 「上から見たらどう見えるかな?」
- 「右側から見るとどんな形になるだろう?」
と自問しながら、自分で補助的な図を描き足していく習慣をつけましょう。
③ 難問は考えすぎない(捨て問を見極める)
難問は考えすぎない
中には、図形が非常に複雑で、どう考えても時間内に解ききるのが難しい問題も存在します。解けないわけではなくても、「テスト本番でそこに時間をかけるべきかどうか」は別問題です。
捨て問題をきちんと見極められるようになることは、受験戦略上とても重要です。
限られた試験時間と、1点の差が合否を分ける可能性を考えると、
- 標準レベルの問題を確実に取り切る
- 時間がかかりすぎる難問は、ある程度割り切って後回しにする・捨てる
といった判断力が求められます。
立体図形が苦手な場合ほど、難問にこだわって時間を使い果たしてしまいがちです。普段の演習から、
- 「ここまで考えても全体像が見えないなら一度飛ばす」
- 「試験本番なら、この問題に何分かけるか」を意識して解く
といった練習をしておきましょう。
日々の学習で意識したいポイント
立体図形を克服するためには、次の3点を意識した日々の演習が大切です。
- 「描く」ことをサボらない
頭の中だけで済ませず、必ず紙に図を描いて確認する習慣をつける。 - 「見方を変える」クセをつける
上・横・正面など、複数の方向から描き直したり、平面図に変換するトレーニングを行う。 - 「捨て問」を意識する
すべてを完璧に解こうとせず、時間対効果を考えて取り組む問題を選ぶ感覚を養う。
問題を解き始める前の段階で、どのような図が必要か・どの方向から見ればわかりやすいかを柔軟に考えられるかどうかが、立体図形攻略の鍵になります。日々の問題演習を通して、少しずつ「立体を見る目」を育てていきましょう。
まとめ:立体図形を得点源に変えよう
中学入試算数において、立体図形は避けて通れない重要分野です。しかし、
- なるべく正しい図形を描く
- 色々な方向から眺めて、多方面からとらえる
- どう考えても解けない難問は、捨て問題として割り切る
という3つのポイントを押さえて学習すれば、苦手分野から安定した得点源へと変えていくことができます。
立体図形が「よくわからない」から「意外と簡単かもしれない」に変わるまでには、少し時間がかかるかもしれません。それでも、日々の演習の中で図を描き、見方を変える練習を繰り返すことで、必ず少しずつ見え方が変わってきます。
立体図形に不安がある方は、まずは今日から、「1問ごとに必ず図を描く」「別の方向から描き直してみる」という小さな一歩から始めてみてください。



