中学受験算数「場合の数」の基本とコツ|和の法則・積の法則・並べ方を一気に整理

場合の数とは、条件を満たす並べ方や選び方が何通りあるかを数える単元です。
このページでは、中学受験算数の「場合の数」について、足す場合とかける場合の見分け方から、並べ方と選び方、カード問題、樹形図、表、余事象まで順番に整理します。
場合の数で大切なのは、式を丸暗記することではありません。問題を読んだときに、どこで場合分けをし、どの数を足し、どの数をかけるのかを判断できるようになることです。
- 選択が段階的に続くときは、かけ算で考える
- 重ならない別々の場合を合わせるときは、足し算で考える
- 直接数えにくいときは、全体から当てはまらない場合を引くことも考える
- 場合の数で足す時とかける時の見分け方
- 積の法則と和の法則の簡単な例
- 並べ方と選び方の違い
- 0〜4のカードで三桁の偶数を作る方法
- 同じ数字がある場合と繰り返し使える場合の違い
- 樹形図・表・計算の使い分け
- 余事象を使って数える方法
- 数え漏れや二重カウントを防ぐコツ
場合の数で足す時とかける時の見分け方
場合の数では、まず「選択が段階的に続くのか」「別々の場合をまとめているのか」を確認します。
表は横に動かして確認できます。
| 考える場面 | 使う計算 | 見分け方 | 簡単な例 | よくある間違い |
|---|---|---|---|---|
| 選択が段階的に続く | かけ算 | 「Aを選び、その後Bを選ぶ」 | 上着を選び、その後ズボンを選ぶ | 各段階の数を足してしまう |
| 別々の場合を合わせる | 足し算 | 「Aの場合、またはBの場合」 | 赤いカードを選ぶ場合と青いカードを選ぶ場合 | 別々のグループをかけてしまう |
足し算を使うときは、それぞれのグループが重なっていないことも確認します。同じ場合が複数のグループに含まれていると、同じものを二度数えることになるためです。
算数で「和」とは何か
算数で「和」とは、足し算をした答えのことです。たとえば、3+4=7では、7が3と4の和です。
場合の数で使う「和の法則」は、重ならない別々の場合の数を足して、全体の場合の数を求める考え方です。
積の法則だけを使う簡単な例
上着が3種類、ズボンが2種類あります。上着とズボンを1つずつ選ぶ方法は何通りですか。
上着を1つ選ぶ方法は3通りです。それぞれの上着に対して、ズボンを2種類から選べます。
- 上着の選び方:3通り
- それぞれの上着に対するズボンの選び方:2通り
3×2=6通り
「上着を選び、その後ズボンを選ぶ」と選択が段階的に続くため、積の法則を使います。
和の法則だけを使う簡単な例
番号の異なる赤いカードが3枚、番号の異なる青いカードが4枚あります。この中から1枚選ぶ方法は何通りですか。
選び方は、赤いカードを選ぶ場合と、青いカードを選ぶ場合に分けられます。
- 赤いカードを選ぶ場合:3通り
- 青いカードを選ぶ場合:4通り
3+4=7通り
赤いカードと青いカードを同時に1枚ずつ選ぶ問題ではありません。重ならない別々の場合を合わせるため、和の法則を使います。
選択を先へ進めるときは積の法則、重ならない別々の場合をまとめるときは和の法則と考えます。
並べ方と選び方は何が違うのか
場合の数では、順番を区別するかどうかによって答えが変わります。
A・B・Cから2人を選んで順番に並べる場合
最初に選んだ人と、次に選んだ人の順番を区別します。
AB・AC・BA・BC・CA・CBの6通りです。
ABとBAでは先頭に立つ人が違うため、別の並べ方として数えます。
A・B・Cから2人を選ぶだけの場合
選ばれた2人だけを考え、順番は区別しません。
- AとB
- AとC
- BとC
全部で3通りです。
AとBを選ぶことと、BとAを選ぶことは同じ組として扱います。
表は横に動かして確認できます。
| 問題の種類 | 順番 | ABとBA | 答え |
|---|---|---|---|
| 2人を順番に並べる | 区別する | 別の並べ方 | 6通り |
| 2人を選ぶ | 区別しない | 同じ組 | 3通り |
問題文に「並べる」「順番を決める」とあれば、順番を区別することが多くなります。「選ぶ」「組を作る」とあれば、順番を区別しないことが多くなります。ただし、言葉だけで決めつけず、何を1通りとして数える問題なのかを確認しましょう。
条件のあるカード問題で最初に見る場所

カードで整数を作る問題では、計算を始める前に次の条件を確認します。
- 各カードは1回ずつ使うのか
- 同じ数字を繰り返し使えるのか
- 同じ数字が書かれたカードが複数あるのか
- 0を先頭に置けるのか
- 奇数・偶数など、置ける数字が限られる位はどこか
0〜4のカードで三桁の偶数を作る例題
0・1・2・3・4の5枚のカードから3枚を選び、各カードを1回ずつ使って三桁の偶数を作ります。何通りできますか。
偶数になるかどうかは一の位で決まります。一の位に置ける数字は0・2・4です。そのため、百の位から考えるよりも、一の位から場合分けした方が整理しやすくなります。
-
一の位が0の場合
0はすでに一の位で使っているため、百の位には1・2・3・4のいずれかを置けます。
- 百の位:4通り
- 十の位:残った3枚から選ぶので3通り
4×3=12通り
-
一の位が2の場合
百の位には0を置けません。また、2は一の位ですでに使っています。百の位に置けるのは1・3・4です。
- 百の位:3通り
- 十の位:残った3枚から選ぶので3通り
3×3=9通り
-
一の位が4の場合
一の位が2の場合と同じように考えます。百の位に置ける数字は1・2・3の3通りです。
- 百の位:3通り
- 十の位:残った3枚から選ぶので3通り
3×3=9通り
それぞれの場合の中では、「百の位を選び、その後に十の位を選ぶ」と選択が段階的に続くため、積の法則を使っています。
一の位が0の場合、2の場合、4の場合は、互いに重ならない別々のグループです。最後は和の法則で足します。
- 一の位が0:12通り
- 一の位が2:9通り
- 一の位が4:9通り
12+9+9=30通り
なぜ0を百の位に置けないのか
百の位に0を置くと、「012」のような並びになります。しかし、012は三桁の数ではなく12です。そのため、三桁の整数を作る問題では、百の位に0を置けません。
一の位が0の場合と2・4の場合で数が違う理由
一の位が0なら、残った1・2・3・4のすべてを百の位に置けます。
一の位が2または4の場合は、残ったカードの中に0があります。0は百の位に置けないため、百の位の選び方が1通り少なくなります。
同じ数字がある場合と繰り返し使える場合
表は横に動かして確認できます。
| 数字やカードの条件 | 数えるときの注意 |
|---|---|
| 0・1・2・3・4のカードを各1回ずつ使う | 一度使ったカードは、次の位では使えません。選択肢の数が減ります。 |
| 0・1・1・2・3のように同じ数字がある | 同じ数字が書かれたカードを入れ替えても、できる整数が同じなら新しい1通りとして数えません。 |
| 0〜4の数字を何度でも使える | 一度使った数字も再び使えるため、次の位で選べる数字は減りません。 |
同じ数字が書かれたカードを並べる例
1・1・2の3枚のカードをすべて使って、三桁の整数を作ります。何通りできますか。
できる整数を書き出すと、次の3つです。
- 112
- 121
- 211
答えは3通りです。
2枚の「1」を入れ替えても、できる整数は変わりません。そのため、同じ整数を別の1通りとして数えないようにします。
同じ数字を繰り返し使える例
1と2の数字を何度使ってもよいものとして、二桁の整数を作ります。何通りできますか。
十の位には1または2の2通り、一の位にも1または2の2通りがあります。
2×2=4通り
- 11
- 12
- 21
- 22
数字を繰り返し使えるため、十の位で1を使っても、一の位でも1を使えます。
樹形図・表・計算をどう使い分けるか
場合の数は、すべて同じ方法で解く必要はありません。選択肢の数や条件に応じて、樹形図・表・計算・余事象を使い分けます。
表は横に動かして確認できます。
| 方法 | 使いやすい場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 樹形図 | 選択肢が少なく、順番に枝を広げられる場合 | 必要なところまで枝を広げ、同じ場合を二度書かない |
| 表 | 2つの条件や選択肢を照らし合わせる場合 | 行と列が何を表すかを決めてから書く |
| かけ算 | 各段階の選択肢が規則的に決まる場合 | 前の段階で使ったものが次でも使えるか確認する |
| 余事象 | 直接数える場合分けが多く、当てはまらない場合が少ない場合 | 全体の場合の数を正しく求める |
同じ問題を表と樹形図で整理する
A・B・Cの3人から、委員長と副委員長を1人ずつ選びます。同じ人が両方を担当することはできません。選び方は何通りですか。
委員長と副委員長では役割が違うため、Aが委員長でBが副委員長の場合と、Bが委員長でAが副委員長の場合は別に数えます。
表で整理する場合
行を委員長、列を副委員長として表にすると、選べる場合と除外する場合をまとめて確認できます。
表は横に動かして確認できます。
| 委員長\副委員長 | A | B | C |
|---|---|---|---|
| A | 選べない | AB | AC |
| B | BA | 選べない | BC |
| C | CA | CB | 選べない |
同じ人が両方を担当する対角線上の3か所を除くと、選べる場所は6か所あります。
樹形図で整理する場合
委員長を決めたあと、それぞれから副委員長として選べる人へ枝を広げます。
委員長A ├─ 副委員長B └─ 副委員長C 委員長B ├─ 副委員長A └─ 副委員長C 委員長C ├─ 副委員長A └─ 副委員長B
表でも樹形図でも、答えは6通りです。
計算では、委員長を3人から選び、副委員長を残った2人から選ぶため、3×2=6通りと求められます。同じ問題を複数の方法で確認すると、それぞれの方法が適する場面を比べやすくなります。
樹形図の書き方
- 問題文の順番に合わせて、最初の選択肢を書く
- それぞれの選択肢から、次に選べるものへ枝を広げる
- 条件に合わない枝は加えない
- 枝の先にできた結果を数える
- 同じ結果を二度数えていないか確認する
本番では、規則が明確な問題を計算で処理した方が速いこともあります。ただし、普段の学習で樹形図を書いて確認すると、数え漏れや二重カウントが起きた場所を見つけやすくなります。
余事象を使って場合の数を求める方法
すべての場合を直接数えるよりも、全体から条件に当てはまらない場合を引く方が簡単なことがあります。この考え方を余事象といいます。
少なくとも1回は表が出る場合
硬貨を3回投げます。少なくとも1回は表が出る場合は何通りありますか。
この問題では、表と裏が出る順番を区別します。たとえば、「表・表・裏」と「表・裏・表」は別の場合として数えます。
「少なくとも1回は表が出る」場合を、表が1回、2回、3回と分けて直接数えることもできます。しかし、表が1回も出ない場合は「裏・裏・裏」の1通りしかありません。
まず、硬貨を3回投げたときの全体の場合の数を求めます。
- 1回目:表または裏の2通り
- 2回目:表または裏の2通り
- 3回目:表または裏の2通り
2×2×2=8通り
次に、表が1回も出ない場合を考えます。
裏・裏・裏の1通り
したがって、少なくとも1回は表が出る場合は次のようになります。
8-1=7通り
余事象を考えやすい言葉
次のような条件がある問題では、全体から当てはまらない場合を引けないか考えてみましょう。
- 少なくとも1つ
- 1回以上
- すべて同じではない
- 少なくとも1人は選ばれる
必ず余事象を使う必要があるわけではありません。直接数える場合と、全体から引く場合のどちらが簡単かを比べることが大切です。
場合の数に裏ワザはある?数え漏れを防ぐ6つのコツ
どの問題にもそのまま使える万能な裏ワザはありません。ただし、問題を整理しやすくする確認方法はあります。
-
条件が強い位や場所から考える
偶数なら一の位、三桁の整数なら百の位など、置けるものが限られる場所に注目します。
-
0をほかの数字と分けて考える
0は先頭に置けないことがあるため、0を置く場合と置かない場合で選択肢の数が変わります。
-
順番を区別するか確認する
ABとBAを別に数える問題なのか、同じ組として扱う問題なのかを確認します。
-
同じものを二度数えていないか確認する
場合分けしたグループ同士が重なっていると、二重カウントが起こります。
-
直接数えるより全体から引く方が簡単か考える
「少なくとも1つ」のような問題では、余事象を使うと場合分けを減らせることがあります。
-
数が少ないときは書き出して確かめる
樹形図や表で書き出し、計算結果と一致するかを確認します。
場合の数が伸びにくいときは、困っている場所を分けて確認する
- 足す場合とかける場合を、問題ごとに説明できない
- 場合分けの基準が曖昧で、数え漏れや二重カウントが起こる
- 順番を区別する問題かどうかを判断できない
- 樹形図を書いても、どこまで枝を広げるか分からない
- 直接数える方法と余事象の使い分けが分からない
当てはまる項目がある場合は、解法を増やす前に、どの判断で迷っているのかを確認すると復習しやすくなります。
場合の数が苦手になりやすい理由

場合の数には、数字カード、道順、色の塗り分け、人や物の並べ方など、さまざまな問題があります。
問題によって、次の条件が変わることも、難しく感じやすい理由です。
- 0を先頭に置けるか
- 同じ数字を繰り返し使えるか
- 順番を区別するか
- 同じものが複数含まれているか
- 隣り合う、隣り合わないなどの条件があるか
個別の式だけを覚えるのではなく、足す場合とかける場合、場合分けの基準、順番を区別するかどうかを確認すると、条件が変わった問題にも対応しやすくなります。
動画で全体像を確認したい方へ
文章だけでは流れをつかみにくい場合は、下の動画でも場合の数の考え方を確認できます。動画を見たあとに本文の例題を読むと、足す場面とかける場面の違いを整理しやすくなります。
場合の数の復習や相談先を確認したい方へ
場合の数の復習方法や相談先は、現在の学年や困っている内容によって異なります。重要単元をまとめて復習するのか、問題ごとの判断を1対1で確認するのか、過去問と一緒に見直すのかを分けて考えましょう。
場合の数でよくある質問
場合の数で足す時とかける時は、どう見分けますか。
選択が段階的に続くときはかけ算を使います。重ならない別々の場合を合わせるときは足し算を使います。「Aを選び、その後Bを選ぶ」はかけ算、「Aの場合、またはBの場合」は足し算と考えると整理しやすくなります。
算数で「和」とは何ですか。
「和」は、足し算をした答えのことです。場合の数で使う和の法則は、重ならない別々の場合の数を足して、全体の場合の数を求める考え方です。
場合の数は、公式を覚えれば解けるようになりますか。
公式だけでは安定しにくい単元です。足すのか、かけるのか、どこで場合分けするのか、順番を区別するのかを判断できるようにすることが大切です。
0を百の位に置けないのはなぜですか。
百の位に0を置いた「012」は、三桁の整数ではなく12として扱われるためです。三桁の整数を作る問題では、百の位に0を置けません。
同じ数字を何回も使ってよいのですか。
問題文の条件によって異なります。「各カードは1回ずつ使う」と書かれていれば、使用したカードは再び使えません。「同じ数字を何度使ってもよい」と書かれていれば、同じ数字を繰り返し使えます。
同じ数字が書かれたカードがあるときは、どう数えますか。
同じ数字を入れ替えても、できる数や並びが同じなら、別の1通りとして数えません。カード自体を区別する問題なのか、できあがった数字や並びを数える問題なのかを確認します。
並べ方と選び方は何が違いますか。
並べ方では順番を区別しますが、選び方では順番を区別しないことがあります。たとえば、ABとBAを別に数えるなら並べ方、同じ組として扱うなら選び方です。
樹形図は毎回書いたほうがよいですか。
本番では計算で処理した方が速い問題もあります。ただし、選択肢が少ない問題や、規則が見つけにくい問題では樹形図が役立ちます。普段の学習で書いておくと、数え漏れや二重カウントに気づきやすくなります。
余事象はどのような問題で使いますか。
「少なくとも1つ」「1回以上」など、条件に当てはまる場合を直接数えると場合分けが多くなる問題で使いやすい考え方です。全体の場合の数から、条件に当てはまらない場合の数を引きます。
場合の数が苦手なとき、最初に何を見直すとよいですか。
まずは、和の法則と積の法則の区別、場合分けの基準、順番を区別するかどうか、樹形図や表の書き方を確認します。どの判断で間違えているかを分けて見ると、復習しやすくなります。



