510-07 立体図形(1)
サピックス5年生のための「柱体・すい体・水そう」基礎整理
立体図形の単元は、公式そのものはシンプルですが、「どこが底面でどこが高さか分からない」「表面積でごちゃごちゃする」「水そうの図がうまく描けない」というつまずきが多い分野です。
このページでは、動画と連動しながら、サピックス5年生が授業に入る前に押さえておきたい柱体・すい体・水そうのポイントを整理しました。
体積・表面積の公式と、水そうの典型的な考え方をセットで確認しておきましょう。
動画講義:柱体・すい体・水そうの基本
この動画は、サピックスに通塾している小学5年生で、算数が苦手な生徒さん向けに「授業に入る前に見ておいてほしいポイント」をまとめた内容です。
重要な部分だけを絞ったコンパクトな講義となっていますので、基本事項の復習にご活用いただければ幸いです。
※本動画は、サピックスで使用されているテキストそのものの解説ではありません。あらかじめご了承ください。
1.柱体の体積・表面積
まずは、柱体(柱の形)の体積と表面積の基本を整理します。サピックスの立体図形では、「柱体」と「すい体」を区別して考えられるかがスタートラインになります。
柱体とは?
柱体とは、
「同じ形がまっすぐ積み上がってできた立体」
のことです。
- 上と下の面(底面)が合同(同じ形・同じ大きさ)
- 側面は、底面と高さに沿ってできる長方形(または同じ形の面)の集まり
- 直方体・立方体・円柱などは典型的な柱体の仲間
柱体の体積の公式
柱体の体積は、次の公式で求めます。
柱体の体積 = 底面積 × 高さ
- 底面積…柱体の「底の部分」の面積(上の面も同じ面積)
- 高さ…底面と底面の間の長さ(まっすぐな距離)
立体が複雑に見えても、「底面が何で、高さがどこか」さえ押さえれば、体積は必ずこの形に落とし込めます。
柱体の表面積の公式
表面積とは、
「立体を展開図にしたときの、すべての面の面積の合計」
のことです。
柱体の表面積は、次のように求めます。
柱体の表面積 = 底面積 × 2 + 底面の周りの長さ × 高さ
- 底面積 × 2 … 上と下の2つの面
- 底面の周りの長さ × 高さ … 側面の「帯」の部分(展開図にしたときの長方形)
表面積の計算で大事なのは、次の2点です。
- 底面の形(長方形・正方形・三角形・円など)をしっかり確認する
- 底面の「周りの長さ」=周の長さであることを意識し、その×高さが側面の面積の合計になることを覚えておく
この公式は、「展開図のイメージ」とセットで徹底的に覚えておくと、複雑な柱体でも落ち着いて解けるようになります。
2.すい体の体積・表面積
次に、柱体と対比されるすい体について確認します。
体積の公式は似ていますが、「3分の1」という係数が入ることが大きなポイントです。
すい体とは?
すい体とは、
「1つの頂点に向かってすぼまっている立体」
のことです。
- 底面は、三角形・四角形・円など、さまざまな形がありうる
- 上には1つの頂点があり、そこに向かって側面が集まっている
- 三角すい・四角すい・円すいなどが代表的なすい体
すい体の体積の公式
すい体の体積は、次の公式で求めます。
すい体の体積 = 底面積 × 高さ × 3分の1
(= 底面積 × 高さ ÷ 3)
- 底面積…すい体の底の部分の面積
- 高さ…底面から頂点までを垂直に測った長さ
柱体と比べると、同じ底面積・同じ高さなら、体積は柱体の3分の1になります。
「柱体とすい体の関係」をイメージしながら、この公式をしっかり覚えておきましょう。
表面積については、底面・側面(三角形や扇形)を個別に計算して足し合わせていきますが、まずは体積の公式を最優先で定着させることが大切です。
3.水そうの問題の考え方
水そう(タンク)を使った問題は、柱体・すい体の考え方と「体積」と「時間」の関係が合わさった典型的な応用です。
ここでは、元記事でも強調されている「図をかいて解く習慣」を身につけることがポイントになります。
水そうの問題は「正面から見た図」をかく
水そうの問題では、必ず正面から見た図を描きましょう。
上から見た図ではなく、「水面の高さが分かる向き」で描くと、体積の変化がイメージしやすくなります。
図に書き込むべき4つの情報
元記事では、水そうの問題の図に入れるべき情報として、次の4つが挙げられています。
・底面積 ・高さ ・体積 ・時間(ある場合は)
これらを図の近くに書き込むことで、問題文の情報が整理され、式が立てやすくなります。
- 底面積:水そうの底(長方形・正方形・円など)の面積
- 高さ:水そうの高さ、または水面の高さ
- 体積:入る水の量(Lやcm³など)
- 時間:水を入れる・抜くのにかかる時間、1分あたりの量など
水そう問題の基本的な考え方
水そう問題では、次のような考え方がよく使われます。
- 体積 = 底面積 × 水の高さ
- 水の量の変化(増える・減る)と、時間の関係を式にする
- 「1分あたり何L増えるか」「何cm水位が上がるか」を比例関係で考える
特にサピックスの問題では、
- 入れる水と抜く水が同時にある
- 途中で流量(1分あたりの量)が変わる
- 水面がある高さに達したときの時間を求める
といった設定がよく出てきます。
そのときも、「底面積」「高さ」「体積」「時間」を正面図に書き込んで整理する」ことが、解き始めの第一歩になります。
図をかく習慣をつけるだけで、水そうの問題はぐっと解きやすくなります。問題を読むたびに、「まずは図」と意識してみてください。
4.サピックス5年生のための学習のすすめ方
柱体・すい体・水そうの単元は、それぞれバラバラではなく、
- 「底面積 × 高さ」という共通の考え方
- 体積と時間の関係(割合・速さの考え方)
でつながっています。算数が苦手なサピックス5年生は、次のような流れで学習するのがおすすめです。
- 動画を視聴して、柱体・すい体のイメージと水そうの図の描き方をつかむ
- 本ページの公式とポイントをノートにまとめ、「体積=底面積×高さ」「すい体は3分の1」を何度も確認
- 教科書やテキストの基本問題で、底面と高さを正しく見つけられるかをチェック
- 水そうの問題では必ず正面図を描き、「底面積・高さ・体積・時間」を書き込む練習を繰り返す
公式をただ暗記するだけでなく、「なぜその公式になるのか」「どこの部分が底面でどこが高さか」を意識して問題に取り組むことが、サピックス算数で点数を安定させるコツです。
当塾でのSapix対策
サピックス算数の特徴と当塾の方針
サピックスの算数は、公式の暗記だけでなく、図で考える力・立体をイメージする力を重視する問題が多いのが特徴です。
柱体・すい体・水そうの単元は、
- 今後の割合・速さ・比・グラフなどの単元
- 入試で頻出の立体の切断・水そう問題
と深くつながる重要な土台となります。
当塾では、
- サピックスのカリキュラムに合わせて、つまずきやすい立体図形を早めにフォロー
- 動画と演習を組み合わせ、「図をかく習慣」や「公式の使い分け」を定着
- 柱体・すい体・水そうの基礎を、入試レベルの応用問題につながる形で整理
といった方針で、サピックスに通塾しているお子さまの学習をサポートしています。
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まとめ:柱体・すい体・水そうは「底面積×高さ」がキーワード
- 柱体:同じ形が積み上がった立体。体積は底面積×高さ、表面積は底面積×2+底面の周りの長さ×高さで求める。
- すい体:頂点が1つある立体。体積は底面積×高さ×3分の1で、柱体の3分の1になる。
- 表面積:展開図のすべての面積の合計。底面・側面を分けて考えると整理しやすい。
- 水そうの問題:必ず正面から見た図を描き、「底面積・高さ・体積・時間」を書き込んで整理する。
- どの単元でも、「体積=底面積×高さ」という共通の考え方を意識すると、公式の意味が理解しやすくなる。
- 図をかく習慣と公式の使い分けが身につけば、柱体・すい体・水そうの問題は大きな得点源になる。
動画と本ページをくり返し活用しながら、「底面はどこか」「高さはどこか」を自分で判断できる力を育てていきましょう。サピックスの応用問題・入試問題に向けた確かな土台が築けます。



