既約分数とは?意味と約分の考え方【510-06】

既約分数とは、これ以上約分できない分数のことです。分子と分母の最大公約数が1になっているかどうかで判断できます。
この記事では、既約分数の意味、見分け方、求め方、小数から既約分数に直す方法を、例題を使って確認します。約分で間違えやすいポイントや、理解したあとに復習したい学習内容も紹介します。
既約分数とは
既約分数とは、分子と分母に1以外の共通の約数がなく、これ以上約分できない分数のことです。
別の言い方をすると、分子と分母の最大公約数が1になっている分数が既約分数です。
たとえば、6/8は分子の6と分母の8をどちらも2で割れるため、まだ既約分数ではありません。
3と4には、1以外の共通の約数がありません。したがって、3/4が既約分数です。
既約分数の判定で大切なこと
分子と分母には、必ず1という共通の約数があります。そのため、「共通の約数がない」ではなく、「1以外の共通の約数がない」と考えます。
約分とは何をしているのか
約分とは、分子と分母を同じ数で割り、分数の大きさを変えずに簡単な形にすることです。
6/8と3/4は、見た目は異なりますが、表している大きさは同じです。約分では、分子だけ、または分母だけを割るのではなく、分子と分母の両方を同じ数で割ります。
既約分数の見分け方
既約分数かどうかを見分けるときは、分子と分母を1以外の同じ整数で割れるか確認します。
2、3、5などで割れるか調べる
まずは、2、3、5、7などの小さい数で、分子と分母の両方を割れるか確認します。
- 分子と分母がどちらも偶数なら、2で約分できます。
- 分子と分母の各位の数字の和がどちらも3の倍数なら、分子と分母はいずれも3で割り切れるため、3で約分できます。
- 分子と分母の一の位がどちらも0または5なら、5で約分できます。
- 2で割れなくても、3、5、7などで割れることがあります。
ただし、2、3、5、7で割れないだけでは、必ずしも既約分数とはいえません。たとえば、22/33は2、3、5、7では約分できませんが、22と33はどちらも11で割れます。
小さい数で割れるかを調べる方法は、共通の約数を見つけるための最初の確認です。最終的には、分子と分母の最大公約数が1かどうかで判断すると確実です。
1以外の同じ整数で割れるなら、まだ既約分数ではありません。1以外の同じ整数では割れなくなったら既約分数です。
最大公約数で判断する
より確実に判断する方法は、分子と分母の最大公約数を求めることです。
- 最大公約数が1より大きい場合:まだ約分できます。
- 最大公約数が1の場合:既約分数です。
たとえば、12と18の最大公約数は6です。最大公約数が1ではないため、12/18は既約分数ではありません。
一方、17と24の最大公約数は1です。そのため、17/24は最初から既約分数です。
既約分数かどうかを比較する表
スマートフォンでは、表を横に動かして確認できます。
| 分数 | 1以外の共通の約数 | 約分できるか | 約分後の既約分数 | 判定理由 |
|---|---|---|---|---|
| 6/8 | 2 | できる | 3/4 | 6と8を2で割れるため |
| 12/18 | 2、3、6 | できる | 2/3 | 最大公約数6で割れるため |
| 17/24 | 1以外はなし | できない | 17/24 | 共通の約数が1だけのため |
| 35/49 | 7 | できる | 5/7 | 35と49を7で割れるため |
最大公約数の求め方から復習したい場合
既約分数かどうかを判断するには、分子と分母の最大公約数を求めることが大切です。公約数の意味や最大公約数の求め方がまだあいまいな場合は、先に約数の基本を確認しておくと、約分の考え方も理解しやすくなります。
既約分数の求め方
分数を既約分数にする方法は、大きく分けて次の2つです。
- 分子と分母を最大公約数で一度に割る方法
- 小さい共通の約数で何回かに分けて割る方法
どちらの方法でも、最後まで正しく約分すれば同じ既約分数になります。
最大公約数で一度に約分する方法
12/18を既約分数にします。
12と18の最大公約数は6なので、分子と分母を6で割ります。
2と3には1以外の共通の約数がないため、2/3が既約分数です。
小さい数で何回か約分する方法
最大公約数がすぐに分からない場合は、小さい共通の約数で何回か割ってもかまいません。
18/24は、最初に分子と分母を2で割ると9/12になります。9と12はどちらも3で割れるため、さらに3で割ります。
3と4には1以外の共通の約数がないため、3/4が既約分数です。
どこまで約分すればよいか
分子と分母を1以外の同じ整数で割れなくなるまで約分します。
一度約分しただけで終わりとは限りません。約分後の分子と分母を見て、まだ共通の約数が残っていないか確認します。
既約分数を求める流れ
- 分子と分母を両方割れる数を探す
- 分子と分母を同じ数で割る
- 約分後の分数をもう一度確認する
- 最大公約数が1になったら終了する
割れる数が分かりにくいときは素因数分解を使う
分子と分母が大きく、どの数で割れるか分かりにくいときは、素因数分解を使うと共通する因数を見つけやすくなります。
たとえば、42/70を素因数分解すると、次のように表せます。
42と70には、2と7が共通しています。共通する因数をかけた14が最大公約数なので、分子と分母を14で割ります。
3と5には1以外の共通の約数がないため、3/5が既約分数です。
最大公約数が分からないときは、約数を整理する方法に戻ってもかまいません。大切なのは、一度で約分することではなく、分子と分母を同じ数で割り、最後まで確かめることです。
既約分数の例題
ここでは、求め方の説明とは異なる数字を使って、既約分数の判定と約分を確認します。
例題1:3で約分できる分数
15/21を既約分数にしなさい。
15と21はどちらも3で割れます。
5と7には1以外の共通の約数がないため、答えは5/7です。
例題2:最大公約数で一度に約分する分数
42/56を既約分数にしなさい。
42と56の最大公約数は14です。分子と分母を14で割ります。
3と4には1以外の共通の約数がないため、答えは3/4です。
例題3:最初から既約分数になっている分数
16/25は既約分数ですか。
16の約数は1、2、4、8、16です。25の約数は1、5、25です。
1以外の共通の約数がないため、16/25は最初から既約分数です。
例題4:一度割ってもまだ約分できる分数
27/45を、小さい数で何回かに分けて既約分数にしなさい。
27と45はどちらも3で割れます。
9と15も、どちらも3で割れます。
3と5には1以外の共通の約数がないため、答えは3/5です。
一度約分したあとも、分子と分母に1以外の共通の約数が残っていないか確認することが大切です。
既約分数で間違えやすいポイント
偶数でなければ既約分数とは限らない
分子と分母がどちらも偶数なら2で約分できますが、どちらも奇数だからといって既約分数とは限りません。
35/49のように、どちらも奇数でも7で約分できる場合があります。
小さい数で割れなくても別の数で割れることがある
2、3、5、7などで割れない場合も、それだけで既約分数と判断しないようにします。
22/33のように11で約分できる分数もあるため、判断しにくい場合は最大公約数を確認しましょう。
分子だけ、分母だけを割らない
約分では、分子と分母を必ず同じ数で割ります。分子だけ、または分母だけを割ると、分数の大きさが変わってしまいます。
一度約分しただけで終わらない
例題4の27/45は、3で割って9/15にしただけでは、まだ約分できます。さらに3で割り、3/5まで直す必要があります。
約分後は、分子と分母の最大公約数が1になっているかをもう一度確認しましょう。
約分のミスを繰り返している場合
「分子だけを割ってしまう」「途中で約分を終えてしまう」「最大公約数を見つけられない」といったミスが続く場合は、答えだけでなく、途中式や考え方を確認することが大切です。
オンライン個別指導では、普段使っている塾教材や答案、解き直しノートをもとに、考え方がどこでずれているかを1対1で確認できます。
小数を既約分数に直す方法

小数を既約分数にするときは、まず分母が10、100、1000などの分数に直し、そのあと最後まで約分します。
0.6を既約分数にする
0.6は10分の6なので、6/10と表せます。
6と10を2で割ると3/5になります。3と5には1以外の共通の約数がないため、0.6を既約分数で表すと3/5です。
0.125を既約分数にする
0.125は1000分の125なので、125/1000と表せます。
125と1000を125で割ると1/8になります。1と8の最大公約数は1なので、0.125を既約分数で表すと1/8です。

小数を既約分数に直す流れ
- 小数を分母が10、100、1000などの分数に直す
- 分子と分母の共通の約数を探す
- 分子と分母を同じ数で割る
- 最大公約数が1になるまで約分する
小数の位や概数も復習したい場合
小数を分数に直すときは、0.6が10分の6、0.125が1000分の125であることを理解しておく必要があります。小数の位の考え方があいまいな場合は、小数や概数についても確認しておくとよいでしょう。
既約分数についてよくある質問
既約分数とは何ですか?
分子と分母に1以外の共通の約数がなく、これ以上約分できない分数です。分子と分母の最大公約数が1になっている分数ともいえます。
既約分数かどうかはどう見分けますか?
分子と分母を1以外の同じ整数で割れるか確認します。分子と分母の最大公約数が1なら、その分数は既約分数です。
1は共通の約数に入らないのですか?
1も共通の約数に入ります。ただし、どの整数も1で割れるため、既約分数を判定するときは「1以外の共通の約数があるか」を確認します。
約分は何回すればよいですか?
分子と分母を1以外の同じ整数で割れなくなるまで続けます。約分後の分子と分母の最大公約数が1になれば終了です。
最大公約数で割らないといけませんか?
必ず最大公約数で割る必要はありません。2や3などの小さい共通の約数で何回か割っても、最後まで約分すれば同じ既約分数になります。
整数も既約分数で表せますか?
整数は、分母を1とする分数で表せます。たとえば、5は5/1と表せます。5と1の最大公約数は1なので、5/1は既約分数です。
小数を既約分数にするにはどうしますか?
小数を分母が10、100、1000などの分数に直し、分子と分母の最大公約数が1になるまで約分します。たとえば、0.6は6/10となり、約分すると3/5です。
既約分数はいつ習いますか?
この記事で扱っている内容は、SAPIXに通う小学5年生が小数・分数を学習するときの復習を想定しています。学校の授業やほかの教材では、既約分数という用語を扱う時期や単元の構成が異なる場合があるため、実際の学習時期は使用している教科書や教材で確認してください。
動画で小数・分数の基本を確認
文章で既約分数の意味や求め方を確認したあとは、動画で小数と分数の基本を復習することもできます。
この動画は、サピックスに通塾している小学5年生で、算数が苦手な生徒さん向けに、授業に入る前に見ておいてほしいポイントをまとめた内容です。文章で既約分数の定義、見分け方、求め方を確認したあとの復習に活用できます。
※本動画は、サピックスで使用されているテキストそのものの解説ではありません。あらかじめご了承ください。
SAPIX5年生の学習での活かし方
小数、分数、既約分数は、その後に学ぶ割合、速さ、比などの問題でも使います。
計算方法を覚えるだけでなく、次の流れで確認することが大切です。
- 既約分数の定義を説明できるようにする
- 分子と分母の共通の約数を探す
- 最大公約数を使って約分する
- 約分後に最大公約数が1になったか確認する
- 小数も分数に直して最後まで約分する
サピックスの算数では、計算方法だけでなく、数の意味を理解し、どの形に直すと考えやすいかを判断する力も必要になります。
たとえば、速さの問題では小数や分数を含む単位換算が出てくることがあります。また、比の問題では、数を簡単な形に直して考える場面が増えていきます。
既約分数だけを単独で覚えるのではなく、「分数を扱いやすい形に直す練習」として定着させておくことが大切です。
速さや文章題で小数・分数を使う場合
既約分数の基本が理解できたら、小数や分数が文章題の中でどのように使われるかを確認することもできます。
速さの単位換算や計算の考え方を復習したい場合は、きはじ・はじき計算の考え方が参考になります。
SAPIX5年生の文章題で、出会い算や追いつき算に進む場合は、旅人算の基本を確認してください。
また、分数を扱う発展的な考え方に関心がある場合は、部分分数の考え方も次の学習候補になります。
これらは既約分数の直後に必ず学ぶ内容ではありません。現在取り組んでいる単元や、苦手な問題に合わせて選ぶとよいでしょう。
小5算数の重要単元をまとめて見直したい場合
既約分数や分数計算の基礎を確認したあと、図形・場合の数・速さ・比など、小学5年生の重要単元を学び直したい場合もあります。
小5算数マスター講座では、立体図形、平面図形、場合の数、速さと比を中心に、月別のオンライン集団授業で学習します。
約分や通分そのものを集中的に復習する講座としてではなく、小学5年生の応用単元を見直す選択肢として確認してください。
SAPIXでの算数学習全体を確認したい場合
既約分数や分数計算だけでなく、SAPIXの特徴や算数対策の進め方を確認したい場合は、次のページも参考にしてください。
既約分数を理解したあとに確認したい学習内容
既約分数の意味や求め方が分かったあと、次に何を復習するかは、現在の理解度やつまずいている内容によって異なります。
まずは、次の3つの学習状況から、今の自分に近いものを選んでみてください。
小数の位や概数も復習したい
小数を分数に直すときに、分母を10、100、1000のどれにすればよいか迷う場合は、小数の位の考え方から確認してみましょう。概数についてもあわせて復習できます。
約分や分数計算のミスを繰り返している
既約分数の意味は理解できても、実際の計算で同じ間違いを繰り返す場合は、途中式や解き方を見直す必要があります。塾教材や答案を使って、考え方を1対1で確認したい場合の選択肢です。
小5算数の応用単元も見直したい
分数計算の基礎を確認したうえで、図形・場合の数・速さ・比など、小学5年生の重要単元をまとめて学び直したい場合は、講座の対象単元を確認してみてください。
なお、最大公約数の求め方自体がまだ不安な場合は、先に紹介した約数・公約数・最大公約数の解説から復習すると、既約分数の判断にもつなげやすくなります。
塾全体の指導方針や講座を確認したい場合は、夏井算数塾のトップページもご覧ください。
まとめ:既約分数は最大公約数が1の分数
- 既約分数とは、分子と分母に1以外の共通の約数がない分数です。
- 分子と分母の最大公約数が1なら既約分数です。
- 最大公約数で一度に割っても、小さい共通の約数で何回か割ってもかまいません。
- 2、3、5、7で割れなくても、11など別の数で約分できる場合があります。
- 約分後は、分子と分母の最大公約数が1になったか確認します。
- 小数は分母が10、100、1000などの分数に直してから、最後まで約分します。
まずは、既約分数=分子と分母の最大公約数が1になっている分数という基準を押さえましょう。そのうえで、分子と分母を同じ数で割り、これ以上約分できないところまで確かめることが大切です。
既約分数の理解があいまいな場合は最大公約数から、計算が不安な場合は途中式から、小数への変換が苦手な場合は小数の位から復習するなど、自分のつまずきに合わせて次の学習を進めましょう。



