510-06 分数と小数
サピックス5年生のための「小数・分数」基礎整理
小数と分数の計算は、一見やさしそうに見えてミスが出やすい単元です。
「小数点の位置をよく間違える」「分数と小数が混ざると頭がこんがらがる」「どこまで約分すればいいか分からない」――こうしたつまずきは、基本の考え方とよく出る数字のパターンを押さえることで防ぐことができます。
このページでは、動画とあわせて、
小数・分数の計算のコツから、大きさくらべの考え方、既約分数の意味までを、授業前の予習・復習用に整理しました。
動画講義:小数・分数の基本と既約分数
この動画は、サピックスに通塾している小学5年生で、算数が苦手な生徒さん向けに「授業に入る前に見ておいてほしいポイント」をまとめた内容です。
重要な部分だけを絞ったコンパクトな講義となっていますので、基本事項の復習にご活用いただければ幸いです。
※本動画は、サピックスで使用されているテキストそのものの解説ではありません。あらかじめご了承ください。
1.小数・分数の基本事項
まずは、小数や分数を含む計算の基本ルールとミスを防ぐ書き方を確認しましょう。
小数×整数(0をあとでまとめる筆算のコツ)
例えば、「小数点がある数字 × 2600」のようなかけ算では、いきなり2600の「0」まで含めて計算してしまうと、小数点の位置が分かりにくくなり、ミスにつながります。
そこで次のように考えます。
- ① まずは260や26など、0を取った形で計算する
- ② 計算が終わってから、あとで0をまとめて付け足す
筆算を書くときは、
- 小数点の位置
- 0を何個あとからつけるのか
を意識しておくと、計算ミスを防ぎやすくなります。
小数のわり算と小数点以下の準備
わり算で小数点以下も求めたいときは、割られる数(わられる数)の方にあらかじめ0を書いておくのがポイントです。
- 小数点以下まで答えを出したい → わられる数の小数点以下に0をならべておく
- 足りなくなってから0をつけ足すのではなく、最初に準備しておくとスムーズ
小数のわり算はとくにミスが出やすいので、
「小数点の位置」と「0の個数」を先に決める癖をつけておきましょう。
小数と分数が混ざった計算の方針
小数と分数が入り混じった計算をするときは、小数にそろえるか、分数にそろえるかを最初に決めることが大切です。
- たし算・ひき算:同じ種類(小数なら小数・分数なら分数)にそろえる
- かけ算・わり算:分数にそろえて一気に処理するのが基本
特に、
「かけ算とわり算のかたまりは、分数にして一気に解く」
というのが重要なポイントです。
- かけ算:分数同士なら「分子×分子」「分母×分母」
- わり算:「わる分数をひっくり返してかけ算」に直す
よく出る分数は小数に変換して暗記しておく
テストやサピックスの問題でよく登場する分数は、小数に直す形を覚えておくと計算が速くなります。
5分の1=0.2、5分の2=0.4、5分の3=0.6 ・・・
20分の1=0.05、20分の3=0.15、20分の7=0.35 ・・・
25分の1=0.04、25分の2=0.08、25分の3=0.12 ・・・
これらは、割合や文章題でも頻繁に登場します。
見た瞬間に小数が思い浮かぶくらいまで練習しておくと、問題全体のスピードと正確さがぐっと上がります。
2.小数・分数の大きさくらべ
つぎに、「どちらが大きいか・小さいか」をくらべるときの考え方を整理します。
分数と小数が混ざった比較では、基本方針を決めておくと迷いにくくなります。
分数と小数は、基本的に小数にそろえて比較
元記事にもあるように、
分数と小数の大きさくらべは、基本的には小数にして比べる
と考えましょう。
分数を小数に直してしまえば、
- 小数点以下第何位までを見るか
- どちらが大きいかを数字だけで判断できる
ようになります。
8分の…の小数は0.125ずつ増える
特によく出てくるのが、8分の○シリーズです。
8分の1=0.125、8分の2=0.25、8分の3=0.375、8分の4=0.5、
8分の5=0.625、8分の6=0.75、8分の7=0.875
見て分かる通り、0.125ずつ増えていくのが特徴です。
- 1/8=0.125
- 2/8=1/4=0.25
- 4/8=1/2=0.5
など、1/4や1/2とのつながりも意識しておくと、分数・小数のイメージがつかみやすくなります。
分数どうしの大きさくらべ:通分が基本
分数どうしだけで比べる場合の基本は、
「むりやり通分して分母をそろえる」
ことです。
- 分母が同じになれば、分子が大きい方が値も大きいと分かる
しかし、問題によっては、
- 分母をそろえたいのに、どんな数にそろえればいいか分からない
という場合もあります。そのときには、元記事にあるように、
「他の分数の分子を、分母が分からない分数の分子にそろえて計算」
する、という考え方も使えます。
- 分母ではなく分子の方をそろえて比べる
- 「どちらが1あたりの量が大きいか」を見る発想
状況に応じて、
- 分母をそろえる(通分)
- 分子をそろえる
- 小数に直してくらべる
といった方法を使い分けられるようになると、問題の見通しがよくなります。
3.既約分数とは何か
最後に、分数の単元で必ず登場する「既約分数」について整理しましょう。
既約分数の定義
既約分数とは、
「これ以上約分できない分数」
のことです。
- 分子と分母が、どんな整数でも同時に割り切れない状態になっている
- 逆に、何かの数で割り切れてしまう場合は既約分数とはいわない
例えば、
- 6/8 は 2で割って 3/4 になるので、既約分数ではない
- 3/4 はこれ以上約分できないので、既約分数
割り切れる数を調べるには「素因数分解」
ある分数が既約分数かどうかを見分けるには、素因数分解が役に立ちます。
- 分子と分母を素数のかけ算の形に分解する
- 共通している素数があれば、まだ約分できる
- 共通している素数がひとつもなければ、既約分数
「どの数で割れるか分からない」ときも、素因数分解をして、共通の因数(約数)を探すという流れを覚えておきましょう。
条件に合う既約分数を探すときのベン図の活用
「ある整数で割り切れるけれど、別の整数では割り切れない」「両方で割り切れる」など、条件付きで分数を探す問題では、ベン図を使うのも有効です。
- 片方の円:ある数で割り切れるもの
- もう片方の円:別の数で割り切れるもの
- 重なった部分:両方で割り切れるもの
- どちらにも入らない部分:どちらの数でも割り切れないもの
このように図で整理してから素因数分解と組み合わせると、条件に合う既約分数を見つけやすくなります。
4.サピックス5年生の学習への活かし方
小数・分数・既約分数の単元は、今後の
- 割合
- 速さ
- 比
- 平均・濃度
など、あらゆる文章題の土台になります。サピックスのカリキュラムでも頻出のテーマなので、次の流れで学習するのがおすすめです。
- 動画を視聴し、小数点の扱い・分数の基本・既約分数のイメージをつかむ
- 本ページの要点を読みながら、よく出る分数と小数の対応をノートにまとめる
- 教科書やテキストの基本問題で、「小数に揃えるか」「分数に揃えるか」を意識して解く
- 既約分数の問題では、素因数分解+ベン図を使って条件に合うものを整理する
計算の速さだけでなく、「どんな形に直せば解きやすいか」を選べる力を身につけていくことが、サピックス算数で点数を伸ばすカギになります。
当塾でのSapix対策
サピックス算数の特徴と当塾の方針
サピックスの算数は、計算テクニックだけでなく、数や図形の意味を理解し、自分で考える力を重視した出題が多いのが特徴です。
小数・分数・既約分数は、今後の割合・比・文章題に直結する重要単元であり、「なんとなく」で進んでしまうと後から苦労してしまいます。
当塾では、
- サピックスのカリキュラムに合わせて、つまずきやすい単元を事前にフォロー
- 動画と演習を組み合わせ、「わかったつもり」を防ぐ指導を実施
- 小数・分数・既約分数を、入試で使えるレベルまで段階的に定着させる
といった形で、サピックスに通塾しているお子さまの学習をサポートしています。
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まとめ:小数と分数を「使い分け」できれば怖くない
- 小数×整数では、0はあとからまとめて付けることで、小数点の位置ミスを防ぐ。
- 小数のわり算で小数点以下まで求めるときは、わられる数にあらかじめ0を書いて準備しておく。
- 小数と分数が混ざる計算は、最初に「小数にそろえるか」「分数にそろえるか」を決める。かけ算・わり算のかたまりは分数にして一気に解く。
- 5分の1、20分の1、25分の1など、よく出る分数は小数に直す形を暗記しておくと計算がスピードアップする。
- 大きさくらべは基本的に小数にそろえて比較。分数同士は通分が基本だが、場合によっては分子をそろえる方法も有効。
- 既約分数とは「これ以上約分できない分数」。素因数分解を使って、分子と分母の共通の約数がないことを確認する。
- 条件に合う既約分数を探す問題では、素因数分解+ベン図で整理すると考えやすい。
小数と分数の意味と変換のコツが分かれば、この単元は大きな得点源になります。
動画とあわせて何度も復習し、「どの形に直せば解きやすいか」を自分で選べる力を身につけていきましょう。



