510-03 約数
約数・公約数・最大公約数が不安なサピックス5年生へ
「約数って何だっけ?」「最大公約数ってどうやって見つけるの?」「約数の個数の問題がゴチャゴチャして苦手…」
そんなサピックス5年生のために、授業に入る前に押さえておきたいポイントをコンパクトに整理しました。
本ページでは、動画講義とあわせて、
約数・公約数・最大公約数の基本から、「わられる数とあまり」の考え方、そして約数の個数を求めるときのコツまでを体系的にまとめています。
動画講義:サピックス5年生向け・約数と公約数の基本
この動画は、サピックスに通塾している小学5年生で、算数が苦手な生徒さん向けに「授業に入る前に見ておいてほしいポイント」をまとめた内容です。
重要な部分だけを絞ったコンパクトな講義となっていますので、基本事項の復習にご活用いただければ幸いです。
※本動画は、サピックスで使用されているテキストそのものの解説ではありません。あらかじめご了承ください。
1.約数・公約数・最大公約数の基本
まずは、この単元の土台となる「約数」「公約数」「最大公約数」の意味をはっきりさせておきましょう。
約数とは何か
約数とは、「その数が割り切れる数」のことです。言いかえると、
かけ算をして元の数になるような数のことです。
- □の約数:□が割り切れる数 = かけて□になる数
例えば、12の約数は次のように求められます。
- 1×12=12
- 2×6=12
- 3×4=12
したがって、12の約数は1, 2, 3, 4, 6, 12です。
「かけ算のペアを全部書き出す」と、約数を見落としにくくなります。
公約数と最大公約数
公約数とは、2つ以上の整数について共通している約数のことです。
つまり、
「それぞれの約数の中で共通している数」を集めたものが公約数です。
- 公約数とは…それぞれの約数の中で共通している数
- 最大公約数とは…公約数のうち最大のもの
また、重要なポイントとして、
「公約数は最大公約数の約数になっている」
という性質があります。
- 公約数 = 最大公約数の約数
したがって、公約数を求めるときは、次の順番がおすすめです。
「最大公約数を求める → その約数をすべて書き出す → 公約数の一覧が完成」
この流れで考えると、計算の見通しがよくなります。
複数の整数の最大公約数の見つけ方
複数の数の最大公約数を求めるとき、すぐに思いつかない場合があります。そのときの考え方の一つが次の2ステップです。
- ① 1つだけ割ってみる
- ② 差の約数に注目する
① 1つだけ割ってみる
候補になりそうな数で、まず1つの数を割ってみて、
「この数は約数になり得るか」をチェックします。
割り切れなければ、その数は公約数にはなりません。
② 差の約数に注目する
2つの数 A, B があるとき、共通して割り切れる数は、その差(A−B)の約数にもなっている、という性質があります。
- 例:24と36の差は12 → 24と36の公約数は「12の約数」でもある
この性質を利用すると、「差を小さくしてから約数を調べる」ことで、最大公約数を見つけやすくなります。
公約数を直接探すのではなく、「最大公約数」から逆算するという視点を持っておくと、サピックスの応用問題にも対応しやすくなります。
2.「わられる数」とあまりの関係
約数の問題では、「割り切れる」ことが非常に大切です。
そのため、問題文に「余り」や「不足」が出てきたときは、
「どんな数だったら割り切れるのか」
を考え、その条件を満たす公約数を見つけていくことになります。
わり算の基本の形
わり算は、次のような関係で表せます。
わられる数 = 割る数 × 商 + 余り
- わられる数…全部の数
- 割る数…1グループあたりの数
- 商…グループの個数
- 余り…整理しきれずに残った数
ここで重要なのは、
「割る数は余りより大きい」
という性質です。
- 余りが割る数以上になってしまうと、もう一回わり算ができてしまうため、わり算としておかしい
余りや不足から「どんな数なら割り切れるか」を考える
余りや不足に関する問題では、次のような流れで整理します。
- 問題文から、わられる数と余りの関係式を立てる
- 「もし余りがなかったら」「もしちょうど割り切れたら」という形を考える
- 割り切れる数どうしの公約数を求める
- その中から、条件(個数・範囲など)に合うものだけを答えとして選ぶ
このとき、求めた公約数の中には、答えとしてふさわしくないものも含まれていることがあります。
- 「人数」や「個数」が小さすぎる/大きすぎる
- 問題文で指定された条件(10人以上、50個以下など)を満たしていない
したがって、
「公約数を求めたあとに、本当に条件を満たしているかどうかを必ずチェックする」
ことがポイントです。
3.約数の個数と素因数分解
約数の個数を求める問題は、「素因数分解」とセットで出題されます。
覚えるべきことや混同しやすいポイントが多い単元なので、意味をはっきり理解してから授業に臨むようにしましょう。
素因数分解とは
素因数分解とは、「その数を素数のかけ算の形で表すこと」です。
- 素数…1と自分自身でしか割り切れない数(2, 3, 5, 7, 11, …)
- 例:12=2×2×3、30=2×3×5 など
約数の個数を考えるときは、「素因数分解したときの指数(何回かけているか)」が重要な手がかりになります。
約数の個数と数の形
基本的なパターンを覚えておくと、サピックスの問題でも素早く判断できるようになります。
約数の個数が1個…1のみ
約数の個数が2個…素数
約数の個数が3個…素数の平方数
約数の個数が4個…別々の素数を1回ずつかけたもの or 同じ素数を3回かけたもの
- 約数が3個:素数の平方数(例:4=2², 9=3², 25=5² など)
- 約数が4個:
- 2つの異なる素数を1回ずつかけたもの(例:6=2×3, 10=2×5 など)
- 同じ素数を3回かけたもの(例:8=2³, 27=3³ など)
特に、
「約数が3個のときは素数の平方数になる」
という性質はよく問われます。必ず覚えておきましょう。
このように、
- 素因数分解の形
- 約数の個数
をセットで意識しておくと、「どんな数が条件に当てはまるのか」を逆算できるようになります。
4.サピックス5年生のための効果的な使い方
この単元は、
- 約数・公約数・最大公約数の定義
- 「わられる数とあまり」の関係
- 約数の個数と素因数分解
など、覚えるべき用語やルールが多く、混同しやすい単元です。
算数が苦手なサピックス5年生は、いきなりテキストの問題に入る前に次の順番で学習するのがおすすめです。
- 動画を見て、基本用語と考え方の流れをつかむ
- 本ページの要点を読みながら、ノートに公式やパターンを書き出す
- テキストや問題集の基本問題で、「なぜそうなるのか」を意識しながら解いてみる
- 応用問題や過去問に少しずつチャレンジし、「公約数の求め方」「差の約数」「約数の個数」を実戦で確認する
単なる暗記ではなく、「割り切れるとはどういうことか」「どんな数なら割り切れるのか」という意味を意識することが、得点力アップにつながります。
5.当塾でのSapix対策
サピックス算数の特徴と当塾の方針
サピックスの算数は、計算力だけでなく、思考力・読解力・数の性質の理解をバランスよく問われるのが特徴です。
当塾では、
- サピックスのカリキュラムに合わせて、つまずきやすい単元を事前にフォロー
- 動画と対面指導を組み合わせ、「わかったつもり」を防ぐ演習を実施
- 約数・倍数・公約数・最小公倍数といった「数の性質」の基礎固めを徹底
といった形で、サピックスに通塾しているお子さまの算数学習をサポートしています。
詳しいご案内はこちら
Sapixの特徴についてはコチラ、
当塾でのSapix対策についてはコチラをご覧ください。
まとめ:意味を押さえて「約数の世界」を味方にしよう
- 約数:「割り切れる数」=「かけて元の数になる数」
- 公約数:それぞれの約数の中で共通している数。最大公約数の約数が公約数になる。
- 複数の整数の最大公約数は、「1つだけ割ってみる」「差の約数に注目する」と見つけやすい。
- 「わられる数とあまり」の問題では、「どんな数なら割り切れるか」を考え、公約数を求めたうえで条件に合うかをチェックする。
- 約数の個数問題は、素因数分解+パターン(約数が1・2・3・4個のとき)を押さえておくと強力な武器になる。
- 覚えることが多い単元だからこそ、動画と本ページを活用して、意味からしっかり理解してから授業に臨むことが大切。
約数・公約数・最大公約数は、この先の分数・比・整数問題などにもつながる重要単元です。
ここでしっかり土台を固めて、サピックスの応用問題にも対応できる力をつけていきましょう。



