中学受験算数の文章題が苦手な子の克服法
中学受験の算数で、計算はできるのに文章題になると式を作りにくい場合、「たす・ひく・かける・わる」を文章の言葉から判断できていないことがあります。
たとえば、「合わせて」は合計、「残り」は減ったあとの数、「同じ数ずつ」は等分を表します。ただし、言葉だけを暗記して計算を決めるのではなく、何が分かっていて、何を求めているのかまで確認することが大切です。
文章題で最初に確認すること
- 何を求める問題か、言葉で言えるか
- 分かっている数を、単位つきで書き出せるか
- 「全部」「差」「残り」「同じ数ずつ」などの言葉の意味が分かるか
- どの数とどの数が関係しているか分かるか
- 作った式が、問題文の意味と合っているか
たす・ひく・かける・わるの言い換え表
まずは、文章題によく出てくる言葉と計算の関係を確認しましょう。言葉を見た瞬間に計算を決めるのではなく、その言葉がどの数量の関係を表しているかを見ることがポイントです。
| 問題文の言い方 | 意味 | 式のヒント |
|---|---|---|
| 合わせて/全部で/合計 | いくつかの数量をまとめる | たす(+) |
| 残り/のこった/使ったあと | もとの数から減ったあとの数量 | ひく(−) |
| 差/ちがい/何cm長い | 2つの数量の差を求める | 大きい方 − 小さい方 |
| 同じ数ずつ/1人分/何人に分ける | 全体を同じように分ける | わる(÷) |
| 1つ分が同じ/○個ずつが△組 | 同じ数量がいくつ分あるか考える | かける(×) |
| 〜の2割/30%/0.3 | もとにする量に対する割合 | もとにする量 × 割合 |
| 時速/分速/秒速 | 一定時間に進む道のり | 道のり・速さ・時間の関係を整理する |
注意したいのは、「この言葉があれば必ずこの計算」と決めつけないことです。同じ「多い」という言葉でも、何を求めているかによって足し算になる場合と引き算になる場合があります。言い換えは式を考えるヒントとして使い、最後は数量の関係を確認しましょう。
言葉は分かるのに式が立てられない場合
「残りだから引き算」といった言い換えはできても、自分で文章を読んで式を作れない場合は、文章のどこが式につながるのかを確認する練習が必要です。
言い換えだけで解けないときは4つの順番で整理する
文章題が苦手なお子さまほど、数字を見つけるとすぐに計算を始めてしまうことがあります。しかし、先に式を作ろうとすると、どの計算を使うのか分からなくなりやすくなります。
次の順番で毎回整理してみましょう。
- 何を求める問題か確認する
- 分かっている数を単位つきで書き出す
- 数量の関係を言葉・図・線分などで表す
- 関係を式に直して計算する
例1:「残り」は引き算
問題
りんごが8こあります。3こ食べました。残りは何こですか。
- 分かっている数:8こ、3こ
- 求めたい数:残り
- 関係:8こから3こ減る
- 式:8 − 3
- 答え:5こ
例2:「差・ちがい」は2つの数を比べる
問題
Aは38cm、Bは24cmです。AはBより何cm長いですか。
- 分かっている数:38cm、24cm
- 求めたい数:長さのちがい
- 関係:大きい方 − 小さい方
- 式:38 − 24
- 答え:14cm
例3:「同じ数ずつ分ける」は割り算
問題
みかんが27こあります。3人で同じ数ずつ分けます。1人分は何こですか。
- 分かっている数:27こ、3人
- 求めたい数:1人分
- 関係:全部を3人で同じように分ける
- 式:27 ÷ 3
- 答え:9こ
例4:「○個ずつが△組」は掛け算
問題
1箱にえんぴつが6本ずつ入っています。4箱では何本ですか。
- 分かっている数:1箱6本、4箱
- 求めたい数:全部の本数
- 関係:6本が4つ分
- 式:6 × 4
- 答え:24本
言い換えから式を作るときによくある間違い
数字だけを見て計算してしまう
問題文に出てきた数字だけを拾い、「数字が2つあるから、とりあえず足す」と考えてしまうケースです。
対処:最初に「何を求める問題?」と確認し、聞かれている部分に線を引きます。数字には「8こ」「3人」「24cm」のように単位もつけておくと、何を表す数なのか整理しやすくなります。
足し算か引き算か判断できない
「多い」「少ない」「差」などの言葉が出てきたときに、式の順番まで混乱することがあります。
対処:言葉だけで判断せず、「もとの数」「増えた数」「減った数」「比べる2つの数」の関係を確認します。差を求める場合は、大きい数と小さい数に印をつけてから式を作る方法もあります。
図を書いても式につながらない
図を書くこと自体が目的になると、どの数字を使えばよいのか分からなくなります。
対処:きれいな図を描く必要はありません。数に□をつけたり、増減を矢印で表したりして、どの数とどの数が関係しているのかを見える形にしましょう。
文章題全体の読み方・考え方まで確認したい場合
言い換えだけでなく、問題文の読み取り、図への整理、式へのつなぎ方まで広く見直したい場合は、文章題対策の記事で順番に確認できます。
割合・速さ・場合の数では「言い換え」だけで決めない
基本的な文章題では「全部で」「残り」「同じ数ずつ」などが計算のヒントになりますが、中学受験では、割合・比・速さ・場合の数など、複数の数量関係を整理しなければならない問題が増えてきます。
たとえば「時速」という言葉を見つけただけでは式は決まりません。何が分かっていて、道のり・速さ・時間のどれを求めるのかを整理する必要があります。
文章題の基本的な読み方はできていて、特定の単元でつまずく場合は、文章題全般を繰り返すより、その単元の考え方を確認したほうが原因を見つけやすくなります。
- 速さの文章題でつまずく場合:速さの文章題の考え方を確認する
- 比を使う文章題でつまずく場合:比の文章題の解き方と線分図の使い方を確認する
- 場合の数で条件整理が難しい場合:場合の数|和の法則と積の法則を確認する
間違えた文章題は「どこでつまずいたか」を確認する
文章題は、答えが合っていたかだけでなく、どの段階でつまずいたのかを見ることが大切です。
- 問題文の意味を読み取れたか
- 何を求めるか分かったか
- 数量の関係を整理できたか
- 正しい式を作れたか
- 計算を正しくできたか
間違えた問題には、「読み」「整理」「式」「計算」のどこで間違えたかを書き残しておくと、同じ文章題を解き直したときに確認しやすくなります。
家庭でできる言い換え・式づくりのミニ練習
文章題は大量に解くだけでなく、1問ごとに考え方を整理することが大切です。家庭では、次の4点を毎回書き残してみましょう。
- 分かっている数
- 求めたい数
- 数量の関係
- 式
最初は基本的な足し算・引き算・掛け算・割り算の文章題から始め、「なぜこの式になるのか」を説明できるか確認します。
慣れてきたら、割合・比・速さなどの文章題へ進みます。式だけを書かせるのではなく、「この数は何を表している?」「なぜ割り算になる?」と確認すると、言葉と式のつながりを見つけやすくなります。
文章題の言い換え・式づくりFAQ
Q. 「多い」と書いてあれば引き算ですか?
必ず引き算になるわけではありません。
2つの数量の「差」を求めるなら引き算ですが、「AはBより3こ多い。Bが5こならAはいくつ?」という問題では、5+3と考えます。
言葉だけで計算を決めず、何が分かっていて何を求めているのかを確認しましょう。
Q. 足し算と引き算をよく取り違えます
「全部」「残り」といった言葉だけを覚えるのではなく、数が増えたのか、減ったのか、2つの数を比べているのかを確認します。
「もとの数」「変わった数」「求める数」を簡単な図や矢印にすると、関係を整理しやすくなります。
Q. 掛け算と割り算の違いが文章から分かりません
「1つ分の数」「いくつ分」「全部の数」のどれが分かっていて、どれを求めるのかを整理してみましょう。
同じ「3人」「12こ」という数字が出ていても、全部の数を求めるのか、1人分を求めるのかによって式は変わります。
Q. 言い換え表を覚えれば文章題は解けますか?
言い換え表は、基本的な文章題で式を考えるためのヒントになりますが、それだけですべての文章題を解けるわけではありません。
中学受験では、割合・比・速さなど、複数の数量関係を整理する問題も出てきます。言葉の意味を確認したうえで、図や表を使って数量の関係を見ることが必要です。
Q. 言葉の意味は分かるのに、自分では式を作れません
問題文を理解する段階と、数量の関係を式にする段階の間でつまずいている可能性があります。
「分かっている数」「求めたい数」「数同士の関係」を先に書き、最後に式へ直す練習をしてみましょう。
家庭学習だけでは原因を分けにくい場合
文章題が解けない原因は、言葉の意味だけとは限りません。問題文の読み取り、数量の整理、図への置き換え、式の作り方、計算など、どの段階でつまずいているかによって必要な練習は変わります。
同じタイプの問題で何度も間違える、解説を読めば分かるのに自力では式を作れないといった場合は、答案やノートを見ながら、どの段階でつまずいているかを確認する方法もあります。
- オンラインで答案や考え方を確認したい場合:算数オンライン塾|中学受験算数の完全1対1個別指導
- 塾教材・宿題・テスト結果も含めて相談したい場合:中学受験算数の個別指導
まとめ:言葉を暗記するだけでなく、数の関係を式に変えよう
- 「合わせて」「全部で」は足し算を考えるヒントになる
- 「残り」「差」は引き算を考えるヒントになる
- 「○個ずつが△組」は掛け算、「同じ数ずつ分ける」は割り算を考えるヒントになる
- 言葉だけで計算を決めず、「何が分かっていて、何を求めるか」を確認する
- 式が分からないときは、「分かっている数→求めたい数→関係→式」の順に整理する
- 割合・比・速さなどでは、単元ごとの数量関係まで確認する
文章題で大切なのは、「この言葉ならこの計算」と暗記することではなく、問題文に書かれている数量の関係を読み取ることです。
まずは基本的な言い換えを手がかりにして、どの数とどの数がどのようにつながっているのかを確認する習慣をつけていきましょう。
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