中学受験Q&A(1)~中学受験は親の受験か?~
中学受験では、「これは親の受験なのか」「どこまで親が関わるべきなのか」と悩む保護者の方が多くいらっしゃいます。
宿題の管理、勉強時間の確保、やる気が落ちたときの声かけ、受験校の考え方など、家庭で支える場面は確かにあります。ただし、親御さんがすべてを背負い込む必要はありません。
このページでは、「中学受験は親の受験か?」という疑問を中心に、保護者が関わるべきこと、子ども本人に任せたいこと、家庭だけで判断しにくいことをQ&A形式でまとめます。
このページで分かること
- 中学受験で親が関わる範囲
- 親がすべてを抱え込まないための考え方
- 受験開始時期や1年間での準備の見方
- 宿題量・複数受験・習い事・体力への向き合い方
- やる気が落ちたときに家庭で確認したいこと
- 算数の学習で外部に相談した方がよい場面
動画で確認したい方へ
文章で全体像を確認したうえで、必要に応じて動画もご覧ください。先に本文の要点を読めるよう、動画は冒頭説明と目次の後に配置しています。
Q. 中学受験は親の受験か?
答えの要点:中学受験は、親だけの受験でも、子どもだけの受験でもありません。家庭によって割合は違いますが、親の支えと子ども本人の取り組みの両方が必要になります。
親と子どもの関わり方は家庭によって違う
これはよく言われる話ですが、私として常にお伝えしている回答がありますので、一度説明させていただきます。
受験には、小学受験、中学受験、高校受験、大学受験と、段階的な違いがあります。小学受験は、幼稚園から小学校へ進む段階の受験であり、基本的には親御さんの力が大きい受験だと言われます。一方で、高校受験は、親御さんが関与しにくく、子ども本人の力で挑む割合が大きくなります。
そのちょうど間に位置するのが中学受験です。
もちろんご家庭によって割合は大きく変わりますが、これまで数多くのご家庭を拝見してきた中で、平均的には50%:50%くらいに落ち着くケースが多いという印象です。
ただし、これは「必ず50%:50%であるべき」という意味ではありません。振り返ってみると、どちらか一方だけではなく、親御さんとお子さんの両方の力が働いていた、という形が多いという意味です。
親がすべてを背負う必要はない
ですので、現状が20%:80%だから大変だとか、80%:20%だから改善しなければならない、ということではありません。平均として多い形が50%:50%というだけです。
お子さんには自我が芽生え、親御さんにも当然考えがあります。その中で、うまく折り合いをつけながら進めていくことで、中学受験が成り立っていくことが多いのだと思っています。
特に算数の学習では、親御さんが勉強時間や生活リズムを見守ることは大切です。一方で、問題の解き方や復習の優先順位まで家庭だけで抱え込みすぎると、親子ともに負担が大きくなることがあります。
Q. 私立中学に行くメリットは?
答えの要点:私立中学の大きなメリットの一つは、学力や興味の近い生徒同士で切磋琢磨しやすい環境に身を置けることです。
同じレベル帯の生徒と学べる環境
私立、国公立、都立など、さまざまな中学校があります。通常の公立中学校に進む以外の選択肢として、どのようなメリットがあるのかを考えていきます。
より高い教育環境、学校ごとの特色、面倒見のよさなど、いろいろな言い方ができるかと思います。その中でも基本的には、ある程度同じぐらいのレベルの生徒さんと切磋琢磨し合える環境があることが、最大のメリットになるのではないかと思っています。
レベルの差が大きく開いてしまうと、興味を持つ対象も、やらなければいけないことも変わってきます。もちろん、多様な環境で過ごすメリットもありますが、デメリットもあります。
どのメリットを優先するかを考える
最終的には、どのメリットを優先し、どのデメリットを避けたいかという考え方になります。
根本的には、同じレベル帯、同じような志向を持った同級生たちと生活していけることが、一番のメリットになると思います。それに加えて、学校の面倒見がよい、さまざまな選択肢を用意してくれている、という点もあるかと思います。
ただ、個人的には、一番のポイントは「同じような環境で学べること」にあるのではないかと思っています。
Q. 1年間で受験勉強することは不可能?
答えの要点:完全に不可能とは言えませんが、現在の中学受験では学習量が多く、1年間で進める場合はかなり厳しい前提で考える必要があります。
現在の中学受験は学習量が多い
実際問題として、小学校5年生の終わりまで受験を意識していなかったものの、6年生になった瞬間に「何かしなければ」と思って受験を始める方はいらっしゃいます。
以前は、現在のお父さんお母さん世代ぐらいであれば、そうした形で受験する方も比較的いらっしゃいました。かくいう私も、ほぼそれに近い形ではあります。
ただ、今現在、1年間で受験勉強ができるかどうかと言われると、数十年前と比べてカリキュラムの消化量、こなさなければいけない量が圧倒的に増えています。
以前であれば1年から2年ぐらいで一通り回せた内容が、現在では3年、あるいは2年半ほどかけて全単元を終えるような状況が、全教科で起きている印象です。
1年で進めるなら現状把握が重要
ですので、1年間でそれをぎゅっと詰め込むことは厳しいところがあると思います。
ただし、これは「受験勉強」と区切ったときに1年間という話です。受験勉強を始める前の段階で、さまざまなことに興味を持っていたり、知識がついていたり、いろいろなことができるようになっていたりする場合は、話が少し変わってきます。
単純に1年で完全に不可能というわけではありません。ただ、他の方が約3年かけて勉強している内容を、1年でまとめなければならないということだけは、覚悟したうえで受験を考える必要があります。
Q. 中学受験は複数受験が基本?
答えの要点:複数受験は基本になります。ただし、受ける学校の数を増やすこと自体が目的にならないように注意が必要です。
第一志望・実力相応校・安全校を組み立てる
基本的には、受験校を組み立てるときには、まずメインとなる第一志望校があり、その後に第二志望校、第三志望校を設定します。
第一志望校は実力相応校より少し上ぐらいの学校を設定し、第二志望校や第三志望校には、現在地より上の学校、現在地に近い学校、現在地より下の学校を組み合わせていくことが多いです。
その意味では、複数受験が基本かと聞かれれば、基本になると考えてよいと思います。
1月校は受験する目的を確認する
例えば東京、神奈川であれば、2月1日が受験開始の大きな節目になります。一方で、埼玉や千葉など、1月に受験が行われる学校もあります。
どれくらい受けるのかで悩まれる保護者様、生徒さんは多いですが、基本的なラインとしては、仮に受験して1%でも入学する可能性があるなら、受けてもよいかもしれません。
ただ、完全に「受験とはどういうものかを確かめたい」だけで、それ以外の目的がない学校については、あまり多く受けなくてもよいのではないかと思っています。
直前期は受験数より復習時間も大切
個人的には、埼玉、千葉あたりでまず1校、多くても2校ぐらいを受験してもらい、1月の間に総復習、チェック、体調管理に時間を割いた方が、最終的な結果につながりやすいのではないかと思っています。
| 考える項目 | 確認したいこと |
|---|---|
| 第一志望校 | 本人が本当に行きたい学校か、過去問との相性を確認する |
| 実力相応校 | 現在地に近い学校を入れ、受験日程を安定させる |
| 1月校 | 入学可能性、受験経験、直前期の負担を分けて考える |
| 直前期の復習 | 受験数を増やしすぎて総復習や体調管理の時間が減らないようにする |
Q. 受験勉強の心得は?
答えの要点:すべてを完璧にこなそうとしすぎないことが大切です。特に小4段階では、優先順位をつける考え方が必要になります。
宿題を全部完璧にしようとすると苦しくなる
ざっくりした質問ではありますが、受験勉強ではやらなければいけないことがたくさんあり、それを消化していく必要があります。
例えば小学校4年生ぐらいの生徒さんで起こりがちな話として、塾から与えられたテキストやプリントを、すべてきちんと消化しなければならないと思い過ぎてしまうケースがあります。
国語、算数まではまだよいとしても、理科、社会についてもかなりの分量が宿題として出てくることがあります。それを全部やろうとすると、毎日勉強して、お父さんお母さんが交代で面倒を見ながら夜遅くまでかかり、土日も潰して頑張るような形になってしまうことがあります。
学年ごとの繰り返しを前提に考える
ですが、4年生の段階で出てきた内容を、その時点ですべて覚えておかなければならないかというと、そういうわけではありません。ある程度の割り切りはどうしても必要になります。
あまり完璧を求めすぎず、4年生でやったことは5年生でももう一度出てくるだろうし、5年生でやったことも6年生でまた出てくるだろう、という見方を持つことも大切です。
ある程度ここまでやったら、今日はこれぐらいでよいと区切る姿勢は非常に大切だと思います。
Q. 受験時の親の心構えは?
答えの要点:親はある程度関わる必要がありますが、すべての中身に入り込みすぎないことも大切です。まずは時間管理や学習環境の確認から考えるとよいです。
関わることと任せることを分ける
先ほど申し上げた通り、中学受験は基本的には親御さんとお子さんが50%ずつ関わるような形になることが多いです。
その意味で考えると、ある程度関わる必要はありますが、あえて子ども本人に任せる必要もあります。
例えば、勉強した結果としてどれくらいできるようになっているかを確認することは大切です。しかし、解いた問題に対して、似たような問題をいろいろなテキストから探してきて、毎回確認するような形をずっと続けると、どこかで限界が来ると思います。
保護者は勉強時間の管理から考える
よくお勧めしているのは、勉強時間を管理することです。これは基本的には保護者さんの仕事になることが多いと思います。
何時から何時まで勉強する時間を作り、その時間の中でできる最大限をお子さんに頑張ってもらう。これを繰り返すことによって、だんだんと「この時間の中で終わらせなければいけない」という意識が育っていきます。
基本ラインとしては、学習内容の中身まで深く入りすぎない方がよい時も多いです。もちろん入った方がよい場面もありますが、入らない方がよい場面も多いという意識を持っていただけるとよいと思います。
親が見やすいこと・外部に相談しやすいこと
| 家庭で見やすいこと | 相談した方が確認しやすいこと |
|---|---|
| 勉強時間、生活リズム、声かけ | 算数のつまずきの原因、復習単元の優先順位 |
| 宿題に取りかかる時間の確保 | 解き直しの仕方、答案から見る弱点確認 |
| 休むタイミング、体調管理 | 塾教材のどこまでを消化すべきかの判断 |
Q. 受験勉強の際に学力以外に必要なものは?
答えの要点:学力以外で特に大切なのは体力です。長時間座って考え続ける力は、中学受験では大きな支えになります。
長時間取り組むには体力が必要
これもよく聞かれる質問ですが、回答は一つです。ずばり、体力です。
勉強するにしても、その後に仕事をするにしても、やはり体力が一番大事です。長時間机に座っていられる、長時間授業を受けていられる、長時間覚える作業ができるかどうかは、受験勉強に大きく関わります。
ある程度時間がかかる作業を延々と続けなければいけない中で、体力はとても必要になります。
受験前の準備として生活全体を見る
受験が始まる前に準備すべきこととして、計算ができた方がよい、漢字をたくさん知っていた方がよい、低学年のうちに先取りしておいた方がよい、という話もあります。
しかし、それ以上に大事なのは体力だと思います。日頃どのような生活になっているかを確認しながら、勉強以外の活動も取り入れ、年齢にふさわしい体力が備わっているとよいと思います。
Q. 受験に役立つ習い事は?
答えの要点:運動系の習い事は、体力づくりの面で役立つことがあります。算数に関係する習い事もありますが、中学受験算数に直結する部分とそうでない部分を分けて考える必要があります。
運動系の習い事は体力面で役立つ
一つ前の話とも関連しますが、運動系の習い事は意外とお勧めできるのではないかと思っています。
水泳、サッカー、野球など、さまざまなスポーツがあります。その中で興味があり、きちんと取り組めそうなものを続けることは大切です。
そろばん・公文式と中学受験算数は同じではない
勉強に役立つという意味では、算数であれば、そろばんや公文式をやっていた方がよいと言われることもあります。
ただ、そろばんや公文式で得られる計算力と、中学受験に必要な計算力は、若干ずれることがあります。
例えば、大きな数の計算が暗算でできることが中学受験にメリットになるかといえば、なる時もありますし、ならない時もあります。
中学受験算数では、ただ計算するだけではなく、もっと楽に処理する考え方や、式の立て方、図の使い方を身につける必要があります。計算力だけがすべてではないということは、ご理解いただけたらと思います。
Q. 中学受験勉強はいつから始めるべき?
答えの要点:一般的には小3の2月、小4開始のタイミングが基本です。ただし、早く始めれば必ず有利というわけではなく、何を意識して取り組むかが重要です。
多くの塾は小4から3年間で組まれている
基本的には、小学校4年生から3年間で一通りのカリキュラムを学習する形で、多くの学習塾はカリキュラムを組んでいます。
つまり、小学校3年生の2月のタイミングで受験勉強を始めるというのが、一つの基本ラインになります。
低学年から始めるなら目的が必要
ここでよく問題になるのは、「この3年間だけで本当に足りるのか」と疑問に思われる保護者さんが多いことです。
近年は、小学校1年生、2年生ぐらいから通塾している生徒さんも増えています。ただ、1年生、2年生、3年生の段階で何を意識して勉強していたかによって、早めに始めたことがプラスに働く時と、そうでない時があります。
何となく低学年から通わせていたけれど、4年生から成績が下がっていくという生徒さんもいます。早く始めているからといって、成績が上位で安定するわけではありません。
低学年の生徒さんに目標にしてほしいこととして、できる限り短時間で勉強を終わらせる習慣づけがあります。
土日をすべて使って勉強するような生活を長期間続けると、5年も続ければ疲れてしまいます。受験勉強は限られた期間に集中し、それ以外の時間も有効に使う生活スタイルで進めてもらえればよいと思います。
Q. 中学受験に向いている子とは?
答えの要点:中学受験では、じっくり考える力だけでなく、限られた時間の中で素早く処理する力も求められます。
中学受験はスピードが求められやすい
いろいろな観点がありますが、中学受験は基本的にはスピード勝負の要素が強く出やすい受験だと思います。
ある問題が出てきたとき、じっくり考えれば数分で解けるとしても、実際に時間をかけすぎてしまうと他の問題に使う時間がなくなってしまうことがあります。
そのため、覚えたことを素早く使い、短い時間で解かなければならない場面も出てきます。
速く処理する練習も必要になる
そうしたことを考えながら勉強を進められるお子さん、つまり、じっくり考えるだけでなく、スピーディに答えを出していける生徒さんの方が、相対的には中学受験に向いていると言われることが多いのではないかと思っています。
ただし、最初から速く解ける必要はありません。なぜその式になるのか、どこで時間がかかっているのかを確認しながら、少しずつ解き方の手順を身につけていくことが大切です。
Q. 子どもがなかなかやる気を出さないときは?
答えの要点:やる気が出ない時期は誰にでもあります。無理に引き上げるより、原因と休ませ方、再開するときに戻る範囲を分けて考えることが大切です。
やる気が出ない理由は一つではない
もはやクエスチョンでも何でもないですが、こうした状況は結構多いのではないかと思います。
もちろん、要因はいろいろあります。学校生活の中で嫌なことがあり、勉強に身が入らなくなるケースもあります。塾で毎週テストを受けているものの、頑張っている気がするのに成果が出ず、やる気が下がってしまう生徒さんもいます。
やる気が出ない時は、誰にでもあります。子どもに限った話ではありません。大人でも、どうしてもやりたくない時はあります。
無理にやる気を出させると反動が出ることもある
その時に、無理やりやる気を出させる方法は、後で無理が出ることも多いのではないかと思います。
ですので、そういう時期もあると折り込んでおくことが大切です。他の生徒さんはすごくやる気を出して頑張っているのに、うちの子だけ勉強しないと思うこともあるかもしれませんが、実際にはそうとも限りません。
どんなに上位の生徒さんでも、やる気を失う瞬間はあります。これまで模試で上位を取っていたのに、少し順位が下がっただけで大きくやる気を失うこともあります。その子にとっては、それが非常に大事なことで、モチベーションが下がる原因になっているのです。
休む時期と戻る範囲を分けて考える
言い方が難しいですが、こうした問題は、基本的には時間しか解決してくれないこともあります。ですので、やる気が出ないのであれば、しばらく休むという判断も必要です。
休んでいる間に漏れてしまった勉強内容は、どこかでカバーすればよいです。まずは「そんな時もある」と軽く捉えることも、保護者さんにとって大切だと思います。
ただし、休んだ後にどこから戻るか、算数のどの単元を優先して確認するかは、見極めが必要です。やる気の問題なのか、理解できない単元が積み重なって苦しくなっているのかを分けて考えると、再開しやすくなります。
中学受験Q&Aの補足
中学受験は親がどこまで関わるべきですか?
勉強時間や生活リズムを見守ることは、保護者が関わりやすい部分です。一方で、算数の解き方や復習単元の優先順位まで家庭だけで抱え込みすぎると、親子ともに負担が大きくなることがあります。
1年間で中学受験の準備をする場合、最初に何を確認すべきですか?
まず現在できている単元、急いで戻るべき単元、後回しにしてよい内容を分けることが大切です。特に算数は積み重ねが必要なため、早めに現状を確認すると進め方を決めやすくなります。
子どものやる気が落ちたときはどうすればよいですか?
無理にやる気を出させるより、まず原因を分けて考えることが大切です。疲れなのか、成績への不安なのか、理解できない単元が積み重なっているのかによって、必要な対応は変わります。
まとめ
中学受験は、親だけで進めるものでも、子どもだけで完結するものでもありません。家庭で支える部分と、子ども本人に任せる部分を分けながら、必要に応じて第三者の視点も入れていくことが大切です。
特に算数は、宿題量、復習範囲、テスト直し、過去問の扱いなどで悩みが出やすい科目です。家庭で抱え込みすぎていると感じる場合は、現在の教材や答案をもとに、どこから確認するべきかを見てみてください。
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